Project/Area Number |
08620010
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Research Field |
Fundamental law
|
Research Institution | Dokkyo University |
Principal Investigator |
小柳 春一郎 獨協大学, 法学部, 教授 (00153685)
|
Project Period (FY) |
1996
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
|
Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1996: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
|
Keywords | 借地借家 / 大規模災害 |
Research Abstract |
1 GHQ文書の捜索 罹災都市借地借家臨時処理法は、GHQによる占領下の立法である。それ故、立法課程においてGHQの関与があることが予想された。実際、膨大なGHQ文書の複写、引き延ばしを行い、いくつかの罹災法関連文書を発見することができた。しかし、その資料は、いずれかと言えば限定的なものであり、むしろ日本政府のイニシアチブによる立法であることが明らかになった。 2 議会資料の捜索 帝国議会における罹災法審議は、委員会審議が主な意見が出された場である。しかし、第90回帝国議会の委員会速記録は、国会図書館においてもマイクロフィルムにおいてのみ閲覧が可能であった。そこで、マイクロ複写を行った後、この文書のテキストファイル化を行った。このためにワープロ検定技能者を採用し、テキストファイルによりフロッピ-ベースに移し込んだ。これにより、今後、資料利用が容易になった。 3 戦時罹災土地物件令との比較 罹災法は、戦時罹災土地物件令(昭和20年)の後処理のための法であることが明らかになった。戦時物件令は、罹災建物の居住者に土地の暫定的な使用権を与えた。これに基づき、戦後バラックが多数建設されたが、物件令の廃止により、バラックの週挙が行われるべき運命にあった。しかし、当時の資材不足ではバラックを撤去させるのが適切ではなく、このため、罹災法は、バラックの建設者に優先借地権、借地権優先譲受権を与えて、バラックの存置をはかった。これが罹災法の最大の立法理由である。 4 現在の状況との対比 神戸弁護士会において、複数の弁護士に対し、罹災法に関して聞き取りを行ったところ、更地を誰が利用できるかということが最大の問題であることが明らかになった。資材不足の存在しない現在では、多くの場合罹災法の各種優先権は地主からの代償の支払いにより放棄させていた。戦後の状況下に制定された罹災法が、現在では異なる役割を果たしていた。
|