公的年金の受給・負担関係における世代間格差の要因分析
Project/Area Number |
08630083
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Research Field |
Public finance/Monetary economics
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮島 洋 東京大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (00020537)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Keywords | 年金現価 / 給付・負担倍率 / 世代間格差 / 財政再計算 / 人口高齢化 / 実質給付価値 / 賃金・物価指数 / 家族扶養負担 |
Research Abstract |
本研究の研究目的および研究計画に従って、公的年金(特に厚生年金)の受給・負担(拠出)関係における世代間格差の諸要因について比較分析を行った。要因寄与度の計量分析は容易ではなかったが、基礎率分析の結果から得られた知見等は以下のようである。 1.各世代の給付(年金現価)と保険料(元利)が等しい完全積立方式を基準に、(給付/保険料)倍率の世代による違いを給付・負担関係の世代間格差と定義し、人口の高齢化、実質給付価値の維持、給付水準の政策的引上げ、保険料率改定の失敗、家族扶養負担との調整を格差要因として取り上げた。 2.平成6年財政再計算に基づく推計によれば、生年1975年(昭和50年)以降の世代では、この倍率が約1倍であるのに対して、生年1960年で約1.5倍、1950年で約2倍、1940年3.3倍、1930年で約7倍、1925年で約9倍であった。 3.被扶養高齢人口比率(退職高齢人口/生産年齢人口)は1975年の11.7%から1995年には20.9%へとほぼ倍増している。しかも、1975年当時の将来人口推計では、1995年は被扶養高齢人口比率は18.9%と見込まれていた。 4.実質給付価値の維持を決定する賃金再評価と物価スライドの影響を把握するため、賃金・物価指数の変化を1974年と1993年で比較すると、賃金指数は約2.5倍、消費者物価指数は約2倍の上昇を示していた。 5.年金給付水準の政策的な引上げ度合いを測るため、一人当たり支給額の実質価値を1974年と1993年で比較すると、賃金デフレーター調整で約1.7倍、物価デフレーター調整では約2.1倍であった。 6.保険料率の改定が政治的な配慮から計画より小幅改定または施行延期となったこと、そして、現在の高齢世代が若年世代の頃に親世代の所得保障を家族内で担っていたこととの調整が格差要因の残差を説明する。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)