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¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Research Abstract |
1.四元数theta級数について. 今回の研究では,有理数体上の正定値四元数環Bでその判別式 qがq<10000なる素数の場合に,各q毎に(Type number T(q)個存在する)全ての極大整還の同型類の代表を求め,そのtheta級数を計算して,その一次独立性を調べた。これは従来の範囲q<5000を大きく拡大するもので,この結果,新たに90個のlevel q,重さ2の保型形式fで,s=1でのrankが2であるものが発見された(論文を準備中)。 2.1.に於ける計算からtheta級数として得られた保型形式のFourier係数を用いて,モジュラー曲線とそのヤコビ多様体の研究を種々の角度から行った。特に,モジュラー曲線のAtkin-Lehner's involutionの群による商曲線X^*_0(N)のうちで超楕円的曲線になるものをlevel Nがsquare freeの場合に完全に分類した。更に申請者の研究室の助手・大学院生によって,Nが一般の場合や,X_0(N)の部分商なる曲線についても分類が完成された。また,同様に保型形式のFourier係数を用いて,モジュラー曲線X_0(N)の上に存在するHeckeの代数対応の方程式を多くの例について計算した。これは,ヤコビ多様体の自己準同型を詳しく研究する為に貴重な資料となる。 3.「有理数体上の楕円曲線Eはモジュラー曲線X_0(N)のヤコビ多様体のQ-factorである」といういわゆる谷山-志村予想は,1994年にWiles-TaylorによりEが半安定な場合に解決されたが,我々は,ある種のQ上のアーベル多様体にこの結果を拡張し,その応用として代数体上のQ-curveと呼ばれる楕円曲線や,種数2の代数曲線で,ヤコビ多様体が四元数乗法をもつもの(QM-curve)について,谷山-志村予想を証明した。これは,中央大学の百瀬氏等との共同研究で,1996年度の代数学シンポジウムで3時間にわたって報告した.
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