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¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
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Research Abstract |
市田(本研究代表者)は,非負リッチ曲率をもつ完備連結リーマン多様体Mとそのコンパクト連結部分多様体N(1点でもよい)に対し,M,Nの基本群π_1(M),π_1(N),1次元相対ホモトピー類π_1(M,N),Nの法指数写像の単射半径等に密接に関係するある幾何学的量β(N)を導入した。これまでに,この幾何学的量β(N)を用いて,非負リッチ曲率をもつ完備連結リーマン多様体の幾何学的性質,正曲率リーマン多様体の単射半径と基本群の関係等の研究を行ってきた。 本研究では上述した幾何学的量β(N)がπ/4の値を取るとき,正曲率リーマン多様体の単射半径と基本群の関係について興味ある幾何学的情報を提供することに注目して,これまでに得られた研究成果を基に,リーマン幾何学,Lie群,位相幾何学の観点から正曲率リーマン多様体の幾何学的構造の研究を行った。本研究において得られた主要な結果は次の通りである。 定理(市田) Mをコンパクト,連結,非単連結,等質リーマン多様体とし,その断面曲率Kが条件1【less than or equal】K【less than or equal】4を満たすとする。このときMの基本群π_1(M)はSU(2)のある有限部分群と同型である。またMの次元がdimM=4k+1(kは自然数)のとき,π_1(M)は有限巡回群にな SU(2)の有限部分群は全て分類されているので,定理に述べたMの基本群は全て分類されたことになる。上の定理は,正定曲率の場合既知のことであるが,本研究ではその別証をも与えている。 また,本研究において,双正2面体群を基本群にもつ等質定曲率空間の新しい特徴付けを与えることも出来た。 尚,本研究課題については,未解決の興味ある問題(例えば,上記定理の曲率に関する条件を緩和したときの基本群の分類問題)が多く残されているので,今後も研究を続行したい。
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