観測データとの比較による惑星系形成論「標準モデル」の検証
Project/Area Number |
08640330
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Research Field |
Astronomy
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
中川 義次 神戸大学, 理学部, 助教授 (30172282)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 1996: ¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
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Keywords | 太陽系の起源 / 太陽系星雲 / 原始惑星系円盤 / ダスト / ダスト沈澱 / 熱輻射 / 輻射スペクトル / T Taui型星 |
Research Abstract |
惑星系形成論「標準モデル」によると、惑星系形成は、太陽系星雲(より一般に、原始惑星系円盤)中でのダストの沈澱によって始まる。ダスト沈澱により、惑星形成の原材料となるダストが、最初に星雲ガスより分離される。ダスト沈澱は、惑星集積に先立つ重要な過程である。このダスト沈澱が、現実に観測されている原始惑星系円盤内で本当に起こっているかどうか、これを検証することが本研究の大きな目的である。 まず、原始惑星系円盤内でのダスト沈澱の進行にともない、円盤内の温度分布がどのように変化するのかを明らかにした。円盤の温度は、円盤を照らす中心星の輻射による加熱と、円盤自体の熱輻射による冷却との釣り合いによって決まっている。ダストの沈澱が始まると中心星輻射を吸収する面が低くなり、中心星輻射による加熱効率が低下し始める。その程度は中心星からの距離が隔たるほど大きくなり、したがって、円盤の外縁部から温度が下がり始めることがわかった。 次に、上で明らかになった温度分布の変化が星雲の熱輻射スペクトルにどのような影響を与えるのかを調べた。中心星から隔たる円盤の外縁部はもともと温度が低く熱輻射スペクトルにおいては、長波長の輻射を担っている。円盤内でダスト沈澱が始まるとそのような円盤の外縁部から温度が下がり始める。したがって、熱輻射スペクトルにおいては、長波長領域の輻射が減少することになる。そしてダスト沈澱の進行にしたがって、徐々に波長の短い輻射が減少していくことになることがわかった。 最後に、IRAS(赤外線観測衛星)による観測で得られている原始惑星系円盤の熱輻射スペクトルと上で明らかになった理論スペクトルとの比較を行なった。その結果、いわゆる"passive" diskと呼ばれている原始惑星系円盤の熱輻射スペクトルは、ダスト沈澱の進行程度により4つのクラスに明解に分類されることが分かった。すなわち、未沈澱、沈澱途上、沈澱終了、惑星形成開始の4クラスである。このことは、惑星系形成論の「標準モデル」ときわめて整合的である。今後さらに研究を発展させて、「標準モデル」の検証を進めていきたいと考えている。
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Report
(1 results)
Research Products
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