銅酸化物の超伝導状態における励起スペクトルの理論的研究
Project/Area Number |
08640444
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Research Field |
固体物性Ⅱ(磁性・金属・低温)
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
太田 幸則 千葉大学, 理学部, 助教授 (70168954)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
夏目 雄平 千葉大学, 理学部, 教授 (80114312)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 1996: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | 高温超伝導 / 銅酸化物 / d波超伝導 / t-J模型 / 厳密対角化法 / 強相関電子系 / ボゴリューボフ準粒子 / モット転移 |
Research Abstract |
大型計算機を用いた計算物理学的手法である有限系の数値的厳密対角化法を用いて、二次元強相関電子模型の超伝導状態及びその低エネルギー励起の研究を行った。特に、二次元t-J模型の絶縁相近傍の超伝導を、強い反強磁性スピン相関の結果形成されるホール準粒子間のペアリングという観点、およびd波の内部自由度を持つ強い引力で結合したペアの集団のダイナミクスという観点、から重点的に研究した。前者では、ドープされた2次元t-J模型の少数有限系に対して、その全ての低エネルギー固有状態に渡る運動量分布関数が、運動量に対してゆっくり変化する部分と急激に変化する部分の和で書かれ、ゆっくり変化する部分は、どの低エネルギー状態に対しても実質的にほとんど等価であり、いわゆる1ホール問題の運動量分布から簡単なスケーリングによって求めることができることを示した。この計算結果は、t-J模型における「準粒子」の運動量分布、ないしは少数系での「フェルミ面」に対応するものを与える。また後者では、銅酸化物超伝導の特徴であるキャリア数が少ないこと、キャリア間の引力が比較的強いこと、 そしてペア波動関数がd波の内部自由度を持つこと、の3点を満たす有効ハミルトニアンを構築し、この模型の低エネルギー励起が、あるパラメータ領域でBCSペアリング理論におけるボゴリューボス準粒子描像によって良く記述出来ることを示した。さらにこれらの研究の拡張として、擬2次元有機超伝導体である(BEDT-TTF)_2X系の電子状態を、多バンドハバ-ド模型およびt-J模型の枠内で据え、これらの模型の磁気的・電子的基底状態の可能な相図を提案した。特に、1/4フィリングのt-Jにおけるd波超伝導の、二量体化による増進という機構を提案した。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)