Project/Area Number |
08640465
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Research Field |
固体物性Ⅱ(磁性・金属・低温)
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
溝口 憲治 東京都立大学, 理学部, 教授 (40087101)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 1996: ¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
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Keywords | 有機導体 / ポリピロール / ESR / ESR線幅 / ポリアニリン / 電気伝導度 / 周波数依存性 |
Research Abstract |
代表的な有機金属であるポリピロールにPF_6、AsF_6など種々のドーパントをドープした系のESR線幅を温度と周波数の関数として測定し、電気伝導を担っている電荷担体のスピンダイナミクスを調べた.ポリピロールのESR線幅は酸素のいない雰囲気下ではスピン軌道相互作用を介したエリオット機構に支配されていることを、ポリチオフェンのESR線幅との比較などから示してきた.ところが、酸素雰囲気下では、電荷担体と酸素の常磁性スピンとの相互作用によってESR線幅が支配されていることを見出した.この場合には、相互作用の強さによってESR線幅が電荷担体の拡散係数に比例したり、エリオット機構の場合のように拡散係数の逆数に比例したりすることが予測されている.この点を明確にするために、2倍に延伸配向したPF_6をドープしたポリピロールのESR線幅を、延伸方向と磁場のなす角の関数として測定した.g-シフトの異方性に起因するエリオット機構のESR線幅の異方性が期待されるが、実際に、室温から50K辺りまでは期待されるようにESR線幅に比例した異方性の振幅が観測されたが、50K以下では、ESR線幅は平らになるが、異方性の振幅は逆に急激に減少することが見出された.このことから、エリオット機構に起因する幅は、測定される全幅より急激に狭くなっており、エリオット幅に比例する電荷担体の拡散係数の逆数が急激に小さく、言い方を変えると、拡散係数が急激に低温で大きくなっていることを示唆する.こうして得られた拡散係数は、酸素との相互作用による幅を良く再現し、相互作用が双極子相互作用ではなく、交換相互作用であり、その大きさが温度に換算して数千度の大きさを持つことが示された.この結果、今まで知られていなかった、ポリピロールの結晶した部分の電気伝導度の温度依存性の関数形が温度の2分の1乗に近い冪乗で近似できることを示し、電子状態を明らかにする情報を与えた.
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