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¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 1996: ¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
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Research Abstract |
惑星物質は宇宙空間に存在する間に宇宙線によっていろいろな相互作用を受ける。宇宙空間で宇宙線の照射を受けた惑星物質内では,その相互作用の一つとして二次的に中性子が発生する。惑星物質を構成している数多くの元素の中で,いくつかの希土類元素の同位体は原子核中に中性子を捕獲する中性子捕獲反応を受けやすく,それらは中性子を鋭敏に捕獲した後にその安定同位体の存在度を変えうると考えられる。本研究では,宇宙線照射の影響で隕石内部に起こっている中性子捕獲反応をSmとGdを中心としたいくつかの希土類元素の安定同位体存在度の変動からとらえることを試みた。測定には国立科学博物館理工学部に設置されているVG54-30熱イオン化型質量分析計を用いた。 実試料の測定に先駆け,いくつかの市販化学試薬の希土類元素について精密同位体比測定を行った。Sm, Gdの同位体組成を繰り返し相対誤差0.001〜0.01%の範囲内で精密に分析することにより,それらの同位体組成変動から理論的に1×10^<14>n/cm^2の中性子束を検出できることを明らかにした。次に,米国スミソニアン博物館,日本の国立科学博物館等から入手した20種類にわたる隕石についてSm, Gd同位体比測定をおこなった結果,コンドライト隕石8種類,エイコンドライト隕石5種類について中性子捕獲反応の形跡が認められた。 中性子捕獲反応の影響が認められた隕石のうち,コンドライト隕石については(0.90〜4.25)×10^<15>n/cm^2の被中性子束量に対し,エイコンドライト隕石のそれは(13.4〜69.6)×10^<15>n/cm2と非常に大きいことがわかった。これら各隕石における被中性子束の量の比較は,宇宙空間での相対的な隕石母天体の位置などを考察するうえで重要な制限を与えることができると考えられる。
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