Project/Area Number |
08640667
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Research Field |
Organic chemistry
|
Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
久新 荘一郎 群馬大学, 工学部, 助教授 (40195392)
|
Project Period (FY) |
1996
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
|
Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
|
Keywords | シリルラジカル / ESRスペクトル / 立体反転 |
Research Abstract |
シリルラジカルは反応性の高い不安定化学種であるが、中でもアリール置換シリルラジカルは特に不安定であることが知られている.有機ケイ素マルチスピンシステムの構築においては,安定なアリール置換シリルラジカルの発生が鍵となる.本研究では安定なアリール置換シリルラジカルの生成を行った. トリス(ペンタクロロフェニル)シランと過酸化ジ-tert-ブチル(DTBP)のペンタン溶液を光照射すると,トリス(ペンタクロロフェニル)シリルラジカル(1)が生成し,ESRで観測された.このシリルラジカルは室温で安定であり,半減期は14日である.従来までに報告されているアリール置換シリルラジカルはいずれも低温下でのみ存在する.従って,シリルラジカル1はアリール置換シリルラジカルとしては極めて安定である.また,シリルラジカル1のESRシグナルはシリルラジカルの捕捉剤として知られているベンゼン,アクリロニトリル,1-ヘキセン存在下でも観測された.一方,四塩化炭素存在下ではシリルラジカル1は容易に捕捉され,トリス(ペンタクロロフェニル)クロロシランを86%の収率で生成した. 次に,cis-およびtrans-9,10-ジ-tert-ブチル-9,10-ジヒドロ-9,10-ジシラアントラセン(cis-2およびtrans-2)とDTBPのペンタン溶液を光照射すると,異性化が起こり,cis-2とtrans-2のいずれから出発しても,cis-2:trans-2の比が81:19の混合物が得られた.この結果は,ケイ素上の水素の引き抜きで生成するシリルラジカルのピラミッド構造の反転が起こっていることを示している.一般に,シリルラジカルの反応では立体が保持されることが知られているが,cis-2およびtrans-2から生成するシリルラジカルではある程度の安定性をもつため,捕捉される前に反転が起こると考えられる.
|
Report
(1 results)
Research Products
(1 results)