光誘起電子移動反応で発生するラジカルイオン種の反応性の研究
Project/Area Number |
08640671
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Research Field |
Organic chemistry
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
北村 彰英 千葉大学, 工学部, 教授 (00143248)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
唐津 孝 千葉大学, 工学部, 助教授 (70214575)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 1996: ¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
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Keywords | 光誘起電子移動 / ラジカルカチオン / トリチルカチオン / フェニルアゾトリフェニルメタン / アゾ化合物 / 光増感分解 / ピリリウム塩 / 3H-ピラゾール |
Research Abstract |
光誘起電子移動反応で発生するラジカルイオン種,特にカチオンラジカルの反応性について研究を行った.アゾ化合物である3H-ピラゾール誘導体を合成し,電子受容性増感剤であるDCA存在下で光分解を行ったところ、熱分解生成物と同じシクロプロペン誘導体を得た.しかしながらDCAの代わりにピリリウム塩(TPP^+)を増感剤として用いたところ,シクロプロペン誘導体と共に,1,3-プロピルカチオンラジカルに溶媒のアセトニトリルが付加した生成物を与えた.この付加体の生成機構を調べるために生成物の収量の経時変化を調べたところ,最初にシクロプロペン誘導体を生成し,それがさらにTPP^+によって増感分解を受けて,溶媒付加体を与えることがわかった.このような増感剤による生成物の違いは反応中間体であるラジカルカチオンの反応性で説明できる.すなわちDCA増感ではアゾ化合物のラジカルカチオンとDCAアニオンラジカルとの間の逆電子移動が早いのに対して,TPP^+の場合にはTPPラジカルができるので電荷分離がよく,逆電子移動の速度が遅くて溶媒が付加するというものである.これは増感剤による反応の制御という意味で非常に興味深い.同様の結果がフェニルアゾトリフェニルメタン(PAT)の増感分解でも観測された.この場合には中間体であるトリチルカチオンに対する逆電子移動速度の違いが生成物分布に大きな影響を与える.逆電子移動が速い場合にはトリチルラジカルになり,熱分解と同様な生成物を与えるが,遅い場合にはトリチルカチオンがさらに光を吸収し,特異的な生成物である9-フェニルフルオレンを与えることがわかった.これらの結果をもとに,今後さらにラジカルイオン種の反応について研究を発展させるつもりである.
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Report
(1 results)
Research Products
(1 results)