含窒素複素環化合物を利用する新規光還元反応系の開発
Project/Area Number |
08640676
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Research Field |
Organic chemistry
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
長谷川 英悦 新潟大学, 理学部, 助教授 (60201711)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 1996: ¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
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Keywords | 含窒素複素環 / 光還元 / 電子移動 / プロトン移動 / カルボニル化合物 |
Research Abstract |
本研究課題は"含窒素複素還元化合物を利用する新規光還元反応系の開発"であり、合成が容易で手軽に使える新規光還元剤の開発を目指した。そこで、1,3-ジメチル-2-フェニルベンズイミダゾリン(DMPBI)を最初の検討化合物とした。同化合物は、一電子放出後に生成するラジカルカチオンからの効率の良い脱プロトン化と一電子放出が期待される化合物であった。具体的には、DMPBIによるα,β-エポキシケトンの光還元反応を検討し、以下の点が明らかとなった。芳香族カルボニル構造を有する反応気質とDMPBIとの光反応では、対応するβ-ヒドロキシケトンが好収率で得られた。一方、従来の光還元系で汎用されてきたトリエチルアミンと同基質の反応では極めて効率・選択性が低かった。詳細な反応条件の検討から、反応系への適量の水の添加が必須であるという興味深い事実が見い出された。本光反応の生成物収率は、申請者が別途開発した水素化トリブチルスズを用いるラジカル反応条件下での生成物収率と比べ遜色のないものである。さらに有機スズ化合物の高い毒性を考慮すると本光還元反応系の今後の発展には大きな期待が持たれる。その一方で、新たな問題点も見い出された。例えば、長波長吸収を持たない脂肪族反応基質に対する低反応性である。これらの化合物の光還元には、より長波長吸収を有する新規光還元剤の開発が望まれる。以上の結果は、本申請研究計画と実施方法の妥当性を実証したものと考える。しかしながら本研究はまだ初期段階にあり、今後さらに多様な光還元剤の設計・合成と種々の反応系への適用を検討して行かなければならない。光誘起電子移動過程の特徴を生かした真に有効な有機化合物変換法の開発研究分野はまだ新しく、今後さらに多彩な方向への展開が期待される。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)