Project/Area Number |
08640705
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Research Field |
Inorganic chemistry
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大塩 寛紀 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (60176865)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 1996: ¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
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Keywords | 金属錯体 / 磁性 / 混合原子価 / スピンフラストレーション |
Research Abstract |
これまで合成されたほとんどの多核錯体・クラスター・分子集合体では、常磁性化学種の磁気的軌道の重なりにより反強磁性的相互作用が働く。しかし、常磁性化学種の磁気的軌道が重ならないよう(磁気的軌道が直交するよう)に化学種が近づけば、化学種間には強磁性的相互作用が働く。このような直交する場(縮退したフロンティア軌道)を提供できる架橋配位子として四面体構造を持つ[Cr^<VI>O_4]^<2->が考えられる。[Cr^<VI>O_4]^<2->は金属イオンのd (t_2)軌道と配位した酸素原子のp軌道より縮退した結合性t_2軌道をもつ。[Cr^<VI>O_4]^<2->が常磁性金属イオンM'を架橋すると、結合性(t_2)軌道と架橋された二つのM'の磁気的軌道が二重に縮退した結合性と反結合性分子軌道をつくる。そこで、架橋された二つのM'上の不対電子は縮退した反結合性軌道に入ることになり、M'間には強磁性的相互作用が働くことが期待される。本研究では、[Cr^<VI>O_4]^<2->架橋多核錯体および集合体を合成し、その磁気構造に関して次の2点を明らかにした。 (1)クロム酸架橋金属複核・低次元錯体の合成と磁性 [Cr^<VI>O_4]^<2->架橋した銅複核([{Cu (acpa)}_2(μ-CrO_4)])およびニッケル一次元錯体([Ni (μ-CrO_4)(cyclam)])を合成し、[Cr^<VI>O_4]^<2->が金属イオンを強磁性的に架橋することを明らかにした。また、[Cr^<VI>O_4]^<2->架橋マンガン四核錯体([Mn_4(μ-CrO_4)_2(bpy)_8(H_2O)_2])では、マンガンイオン間に反強磁性的相互作用が働きスピン・フラストレーションが起こる系であることを明らかにした。 (2)[Cr^<VI>O_4]^<2->架橋多次元錯体の合成 硫酸マンガンとK_2Cr^<VI>O_4より、Mn (II, III)混合原子価2次元錯体(K_<0.5>[Mn(μ-CrO_4)(μ-OH)])を合成た。この系はマンガンイオン間に強い反強磁性的相互作用が働くが、やはりスピン・フラストレーションのため反強磁性転移を起こさない興味ある系であることが明らかになった。この系のバンドフィリング制御により巨大磁気抵抗など興味深い物性を示す一連の系を合成できると期待される。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)