様々なスタッキング相互作用に起因するジイミン白金錯体の構造と発光状態の相関
Project/Area Number |
08640712
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Research Field |
Inorganic chemistry
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
加藤 昌子 奈良女子大学, 理学部, 助教授 (80214401)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢野 重信 奈良女子大学, 理学部, 教授 (60011186)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 1996: ¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
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Keywords | 白金錯体 / ジイミン / 発光スペクトル / 発光状態 / 結晶構造 / 分子間相互作用 / 白金間相互作用 / ππ相互作用 |
Research Abstract |
π共役系の広がりの異なるジイミン配位子、2,2'-ビピリジン(bpy)、3,3'-ビイソキノリン(i-biq)、および、ジピリド[3,2-a:2'3'-c]フェナジン(dppz)等を用いて、結晶中の錯体の配向や配位子間、金属間等の相互作用を制御した白金(II)錯体結晶を作製し、これらの分子間相互作用の発光状態に対する効果を、単結晶X線構造解析および種々の分光学的測定により精密に調べた。その結果、結晶構造と発光状態の間には良い相関が認められ、様々な分子間相互作用により全く性質の異なる系が実現することが明らかとなった。 1.錯体の設計と合成。白金(II)錯体、[Pt L_2]^<2+>、[Pt X_2 L](X=Cl^-,CN^-,L=ジイミン類)を合成、同定し、単結晶を作製した。このうちジピリドフェナジン錯体は新規錯体として単離に成功した。 2.分光学的測定。[PtCN_2(bpy)]および[PtCN_2(i-biq)]結晶は、溶液では見られない^3dπ*状態由来の強い発光を示す。これらの結晶の発光スペクトルを室温から77Kの温度領域で測定した。その結果、bpy錯体は温度の低下と共に強度の減少と著しいレッドシフトを示した。一方、i-biq錯体は、これとは対照的に、温度の低下と共に発光強度は増大し、^3dπ*発光の他に^3ππ*状態からの発光も現われ、多重発光現象が観測された。また、dppz錯体はグラス状態では他の錯体と類似の^3ππ*発光が得られるが、結晶では発光が観測されなかった。 3.X線構造解析。発光の特異な温度変化と対応させて、結晶構造の温度変化を調べた。その結果、[PtCN_2(bpy)]では温度の低下と共に錯体のスタッキング方向が著しく収縮するのが明らかとなり、白金間の相互作用が強くなることが実証された。また、[PtCN_2(i-biq)]では、スタッキング方向ではなくπ共役系の重なりのないカラム間が収縮することが示された。一方、dppz錯体は白金間相互作用と配位子間のππ相互作用が競合した新規な二次元シート構造を形成し、励起緩和の容易な系であることが明らかとなった。
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Report
(1 results)
Research Products
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