シッフ塩基とアザアヌレンのニトリドクロム錯体の分光学的及び電気化学的性質
Project/Area Number |
08640714
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Research Field |
Inorganic chemistry
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
東 長雄 愛媛大学, 理学部, 教授 (00093914)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Keywords | ニトリドクロム(V)錯体 / CV / 酸化還元 / ESR / 電解ESR / 結晶構造解析 |
Research Abstract |
単離されたニトリドクロム(V)錯体は僅か3系列の数種にすぎず、その化学は未開拓である。そこでニトリドクロム錯体の電子状態と電気化学的性質を調べる目的でシッフ塩基ニトリドクロム錯体である[CrN(salen)]と[CrN(saloph)]の合成と分光学及び電気化学的測定と結晶構造解析を行った。これらデータを他のニトリドクロム錯体のデータと比較すると、極めて興味深い事実が判明した。それをさらに確認する目的でポルフィリンのニトリドクロム錯体を合成し、同様の測定を行った。 興味深い事実とは、(1)これら錯体ではCr≡N3重結合形成により、Cr^<5+>自由イオンでは3sよりも小さい3d軌道が、これら錯体中では3s軌道よりも大きくなるほどに電子雲膨張を起こしていること;(2)面内配位子であるsalen,bpb porphyrinとクロムとの配位結合の強さ(分光化学系列)により、その電子雲膨張がさらに制御されていること、の2つである。このように顕著な電子雲膨張が報告された例は初めてである。 シッフ塩基ニトリドクロム錯体の電気化学的測定のうち、CVの結果はやや予想を裏切る結果であった。即ち、酸化、還元ともに非可逆であり、予想した面内配位子のπ一共役系の相違による劇的な違いは現れなかった。しかし、この系の電解ESRでは、他の2系列では見られない電解酸化による二核錯体生成が観測された。これは予想外の成果であった。 以上の結果は、昨秋の日本化学会秋季年会(福岡)、分子構造総合討論会(福岡、錯体化学討論会(東大阪)で発表し、またその論文は現在印刷中である。15EA05:アザアヌレンニトリドクロム錯体の合成は現時点で前駆錯体の合成段階にあり最終生成物を得るに至っていない。これが得られれば、第4系列のニトリドクロム錯体になるので、なお合成努力を継続して行く。
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Report
(1 results)
Research Products
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