ドープされたフタロシアニンの反強磁性発現と結晶構造の乱れとの因果関係について
Project/Area Number |
08640739
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Research Field |
機能・物性・材料
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
廣光 一郎 島根大学, 総合理工学部, 助教授 (40199138)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Keywords | フタロシアニン / 反強磁性 / 乱れ / 電荷移動錯体 / 有機高分子 / 電子スピン共鳴 / X線回折 / 局在 |
Research Abstract |
ヨウ素をドープしたアルミニウムフタロシアニン(AlPcF-I_x)は3次元反強磁性を示す。その磁性を司るスピンはAlPcF鎖上で局在している。一方、この物質の結晶構造にはAlPcF鎖方向に大きな乱れがあり、その乱れが、反強磁性発現に重要な役割を果たしているのではないか、と考えられていた。本研究ではこの点を明らかにするために、ヨウ素をドープしたニッケルフタロシアニン(NiPc-I_x)の磁性及び結晶構造の乱れの大きさを調べた。NiPc-I_xは反強磁性を示さないことが既に報告されており、その構造の乱れの大きさをAlPcF-I_xと比較すれば、上述の問題に対する答えが得られると考えたからである。磁化率及び電子スピン共鳴の測定から、NiPc-I_xはPauli常磁性を示し、スピンはフタロシアニン鎖上で非局在化していることがわかった。また、粉末X線回折の測定により、NiPc-I_xのフタロシアニン鎖方向にはAlPcF-I_xの場合と同程度の乱れがあることが明らかになった。つぎに、NiPc-I_xに亜鉛フタロシアニン(ZnPc)を混ぜてさらに大きな構造の乱れを起こさせ、磁性がどのように変化するかを調べた。ZnPcの混合により、Curie常磁性成分が増加するものの、大部分のスピンは依然としてPauli常磁性を示し、反強磁性をまったく示さない。以上の結果から、構造の乱れと反強磁性発現との間には因果関係がない、と結論した。AlPcF-I_xの反強磁性は、格子定数が大きいためにMott絶縁体となっていることが原因で起こると考えられる。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)