Budget Amount *help |
¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
Fiscal Year 1996: ¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
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Research Abstract |
中性pH領域で負電荷を有する酸性リン脂質は,この分子が会合して形成する2分子膜構造において,一重膜形成能が極めて高いことが知られている。これに関連して,本研究においては,親水頭部にグリセロール基を有する酸性リン脂質,ジパルミィトイルフォスファチジルグリセロール(DPPG)を用いて,これの一重膜ベシクル形成能を層間に取り込まれる水分子およびNa対イオンの挙動をモニターすることで検討した。この研究を通して次のことが明らかになった。i)DPPGの脱水試料に遂次,水を加えてゆくと,実験の行われた水分率〜90g%までに渡って,連続的に2分子膜層間に水を取り込み,この現象に基づいて親水頭部は表面曲率の大きいベシクルへと移行する;ii)水分率〜50g%に至ると,層外に存在するバルク状の水が出現し,これは,平板状から湾曲への2分子膜の表面曲率が変化し始めるために,ベシクル間の領域に存在する水と考えられる;iii)Na対イオンの運動状態は,水分率の増大に伴って活発化し,水分率50%以上では徐々に増し,この現象は,層間に水分子を取り込むことで,Na対イオンの拡散2重層の広がりを示す。以上のことより,負に帯電した2分子膜表面がお互いの静電的反発によって,水を無限に取り込み,その結果,湾曲平面を維持することが不可能となり,これが多重膜から一重膜ベシクルへの構造変化をもたらすと考えられる。
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