島山興における植物と昆虫のパートナーシップの成立と崩壊
Project/Area Number |
08640801
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Research Field |
生態
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
加藤 真 京都大学, 総合人間学部, 助教授 (80204494)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 1996: ¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
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Keywords | 送粉者群集 / 送粉共生 / 海洋島 / 小笠原 / 奄美 / 大東諸島 / セイヨウミツバチ / 保全 |
Research Abstract |
小笠原諸島,奄美大島,大東諸島において,開花フェノロジーと送粉者群集,ハナバチの資源利用様式など,送粉共生系に関する調査を行なった. 小笠原諸島には在来のハナバチが10種生息しているが,養蜂用に持ち込まれたセイヨウミツバチの野生化がそれらに与えている影響を調査した.自然植生のよく残る兄島と自然植生の多くを失った父島でセイヨウミツバチが採集して巣に持ち帰る花粉を1年間毎月サンプリングし,それを分析することによって,セイヨウミツバチと野生ハナバチとの競争について解析した.その結果,花の少ない冬季には,セイヨウミツバチはリュウキュウマツやシロバナセンダングサなどのような帰化植物に花粉資源の多くを依存しており,これら帰化植物の存在がセイヨウミツバチのコロニー存続に重要であること,春から夏にかけての自生植物の花粉利用が在来ハナバチを圧迫している可能性があることが明らかになった. ブナ科植物オキナワジイが優占する奄美大島には,ムカシハナバチ科4種,ヒメハナバチ科7種,ハキリバチ科8種を含む合計29種のハナバチが生息していた.ミツバチ科ではニホンミツバチが生息しているがその個体数は極めて少なく,またセイヨウミツバチの固体数もそれほど多くなかった.自生植物の送粉者として,ハナバチではアマミクマバチとアオスジコシブトハナバチ,シマノチビムカシハナバチ,双翅目ではツマグロキンバエの役割が大きかった.またスズメガ媒が多く見られることなど,小笠原の送粉共生系と比較して数多くの相違点が認められた. 小笠原諸島と同様に海洋島である大東諸島には,4種のハナバチが生息しており,セイヨウミツバチは帰化していなかった.大東諸島はほとんど全島がサトウキビ畑になっており、自然植生は海岸や断崖に極めてわずかに残されているのみである.送粉共生系だけでなく,固有の植生や生物相そのものが失われる寸前の状態にあった.
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Report
(1 results)
Research Products
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