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¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 1996: ¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
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Research Abstract |
本研究の最終目的は、筋肉での連続発火(筋緊張症)と脱分極安定電位(周期性四肢麻痺)の発生機序を解明することである。 上記目的のため、膜の機能異常の程度と膜の挙動の関連を、骨格筋細胞膜のHodgkin-Huxley方程式(HHM式と略す)を用いて解析し、生理的知見の背後にあるメカニズムを明らかにしていく。 具体的には,膜の電気的機能に関連する生理特性値を分岐パラメータとした分岐現象を解析した。 分岐パラメータとしては、リ-クコンダクタンスglとナトリウム不活性化因子の流入速度・流出速度の電位依存性を規定するパラメータVhの二つを用いた。これらのパラメータは、先天性筋緊張症、パラミオトニア、高K血性周期性四肢麻痺、及び治療薬の効果とに関連すると考えられるものである。数値計算手法としては、近年文献にあるものと独自に考案したものを用いた。 その結果,余次元1の分岐として,saddle node分岐,Hopf分岐,homoclinic分岐,saddle node of periodic orbitを見いだした。余次元2の分岐として,cusp分岐,Bogdanov-Takens分岐,向き付け不能共鳴homoclinic分岐,縮退Hopf分岐,およびinclination flip分岐(if)と思われる点を見いだした。 2-パラメータ平面上で,通常の神経からの入力に相当する刺激に対するHHM式の振る舞いは,1)周期解に収束(筋緊張症),2)脱分極電位の安定平衡点に収束(麻痺),3)一回のみの発火(正常)の三通りであった。ifと思われる点は,この三つの振る舞いが生じる領域の分水嶺になっていた。 このことは,イオンチャネル遺伝子上の点変異のわずかな違いが,緊張・麻痺という全くことなる臨床像をもたらすこととの関連において興味深い。
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