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¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
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Research Abstract |
本研究は、β型チタン合金(Ti-3Al-8V-6Cr-4Mo-4Zr, Beta-C)の加工技術確立に関する研究の一貫として、Beta-C合金の高能率・高品位な穴加工技術、特に航空・宇宙分野での使用時に加工頻度の多いタッフ加工のための小径穴加工をターゲットとした高能率かつ高精度な穴加工技術の確立を目指した。実験では、ハイスドリルと超硬ドリルを用いて切削条件を含めた加工方法や工具材質,形状の検討を行った。 ハイスドリルを用いて加工した場合、β型チタン合金加工時にはTi-6Al-4Vに比べ1/3〜1/4のドリル寿命しか得られなかった。これは、β型チタン合金がTi-6Al-4Vに比べて溶着性が高いことやβ型チタン合金切削時の切削抵抗がトルク,スラストともに高く,特にトルクは切削中の変動が激しいことなどが原因と考えられる。また、ハイスドリルの場合、加工条件としてはV=4.5m/min,f=0.05mm/revあたりで、先端角135,ねじれ角34,スフリットシンニングを施したドリルを用いるのが好ましい。さらにTiNコーティングは低速では寿命延長に効果があるが,V=10m/min付近になると全くその効果はなくなる。また切削油剤は、低速では不水溶性、高速では水溶性油剤が適している。 一方、超硬ドリルでは、β型チタン合金を通常の加工方法で加工すると、切削条件をどのように変化させても数穴でドリル刃先の欠損やドリルの折損を生じ、十分な穴開けは行えない。この原因は、切り屑詰まりが主因であり、切り屑を分断し排出性を向上させる方法、ステップフィードとドリル刃先にニックを付ける方法を併用し、ドリル材質に靱性の高いものを用いれば150穴以上の加工が安定して行えることが分かった。超硬ドリルでの最適切削条件は、V=10.3m/min,f=0.03mm/revで、切削条件の変化に対して工具寿命は非常に敏感に変化する。またコーティング材種については、DLC (Diamonnd Like Carbon)が切削初期には良い結果を示したが、試作したドリル形状,材質が適当でなかったために、本実験の範囲では十分な結果が得られなかった。 これらの結果をもとにφ3mmの小径超硬ドリルを用いてβ型チタン合金の加工を行ったが、φ6mmのドリルの同条件下では十分なドリル寿命が得られず、送りを下げて加工する必要があることなどがわかった。なお、小径加工については引き続き検討を行う予定である。
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