Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 1996: ¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
|
Research Abstract |
産業廃棄物の廃プラスチックはほとんどの場合特定のプラスチックで構成されている。その中で熱分解技術が困難なプラスチックはポリ塩化ビニル(PVC),ポリオレフィンとポリエチレンテレフタレート(PET)である。そこで,これらプラスチックについて,熱分解機構を解析し,軽質な有用炭化水素への転換反応条件と操作法について研究を進めた。PVCについては,400℃以上の温度で熱分解すると含塩素化合物を生成するが,昇温すると300〜350℃で塩素原子が塩酸や塩素ガスとして完全に脱離し,400℃以上では重量で25%の炭化水素が得られ,残さが14%残った。そこで,300-350℃で一度脱塩素した後,400℃以上に加熱することで含塩素化合物を生成せずに炭化水素が得られることが分かった。また,見かけの反応は350℃以下で支配的なPVC主鎖からのランダムな脱塩素と,それに続くZipper反応と,400℃以上で支配的な主鎖の分解反応の3種類の並列反応で表せることが明らかになった。ポリオレフィンについては代表的なポリエチレン(PE)を用いて研究を行った。PEは400℃以上で分解反応が進行し,550℃までで,2%程度の残さを残して,ほとんどが炭素数1〜25程度の炭化水素に分解する。また,分解反応は主鎖のrandamな分解反応速度式で表せた。液状物はNi/REY触媒により市販のハイオクガソリンと同等のオクタン価を有する高品位ガソリンに改質でき,さらにその速度式を導出した。PETについては,水酸化鉄,酸化鉄,酸化ニッケルが触媒活性を示したが,水酸化鉄を用いた場合にはフタル酸が全く生成しないことを見出した。液状成分としてアセトフェノン,ベンゼン,フェノールが,ガス成分として主に二酸化炭素が得られ,残さは数%であった。また,新規な反応機構を提案し,それに含まれる全ての反応速度定数の温度依存性を明らかにした。
|