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¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
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Research Abstract |
アミン,アミド,炭化水素等の代謝は,一般にチトクロムP-450等の酸素添加酵素による特異的な酸化反応により行われるが,これを合成化学的手法により行わせる選択的かつ高効率な方法の開拓を目的として反応性オキソ金属の創製とその反応性に関する研究を行った.ルテニウム,銅,マンガン等の低原子価金属錯体と過酸化物から生成するオキソ金属活性種は,チトクロムP-450酵素のオキソ鉄錯体と類似の反応性を示し,これによりアミン,アミド,炭化水素,フェノール等の化合物に酸素官能基を導入する酵素型の特異的な酸化的変換反応が行えることが明らかになった.この手法の応用として酸化条件下で種々の求核剤と反応させると,不活性基質への種々の官能基導入が一段階で行えることが明らかになった.例えば,ルテニウム触媒とトリメチルシリルシアニドの存在下にアミドを過酢酸で酸化するとアミドのα位にシアノ基が選択的に導入できる. さらに分子状酸素を用いる種々の遷移金属-オキソ錯体の新発生法とその反応性に関する基礎的研究を系統的に行った結果,アルデヒド-酸素によるアルカンの酸化系において極めて高選択的,高効率な触媒系が見出された.特に,ナイロンの基幹原料製造プロセスとして工業的な重要度の高いシクロヘキサンの酸化において,系統的な研究を行った結果,CuCl_2と18-crown-6,15-crown-4,dibenzo-24-crown-8の組み合わせやコバルト,マンガン,ルテニウムのペンタフルオロフェニルポルフィリン錯体が触媒収率140-170万%で相当するシクロヘキサノールとシクロヘキサノンを与えることを見出し,特にクラウンエーテルの反応では,クラウンエーテルがオキソ金属の配位子としてアルカンの酸化の高効率化に重要な寄与をしていることをX線結晶構造解析等により明らかにした.
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