粒子分散系の力学緩和に対する粒子の回転及び並進拡散の寄与
Project/Area Number |
08651079
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Research Field |
高分子構造・物性(含繊維)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
四方 俊幸 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (10178858)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Keywords | 剛体反発性懸濁液 / 単分散球形粒子 / 回転拡散 / 並進拡散 / 粘弾性緩和時間 / 蛍光偏光解消 / NMR / スピン-スピン緩和時間 |
Research Abstract |
粒子間に静電反発や疎水性結合などの強い相互作用を持たない単分散球形粒子分散系(懸濁液)が近年調製できるようになった。そのような懸濁液の粘弾性を粒子の体積分率を変えながら測定すると高濃度域では顕著な力学緩和が観察される。力学緩和の緩和時間は粒子がブラウン運動によって自分の半径程度を拡散するのに要する時間(並進拡散の緩和時間)とよく対応し、力学緩和に対する並進拡散の寄与が大きいことが明らかになった。並進拡散の緩和時間の逆数よりも低いずり速度域では粒子のブラウン運動が乱されることが無く、懸濁液はニュートン流動を示す。ところが、それよりも高いずり速度を与えるとブラウン運動の等方性が崩れ、見かけの粘度が減少する非ニュートン性が一旦現われる。さらに高いずり速度を系に与えるといわゆるshear thickeningが生じ、粘度の上昇が観察されたが、これは高いずり速度によって系全体に渡る大きな粒子会合体が生成したことを意味する。球形粒子懸濁液では粒子の配向度の異方性が系全体のエントロピーを減少させることができないので、粒子の回転拡散が力学緩和に寄与する可能性はそもそも少ないと考えられる。しかし、紐状ミセル系のように強い異方性を持つ分散系では粒子の回転拡散の寄与は重要である。紐状ミセルの回転緩和を検出するには動的光散乱法や動的電気複屈折法を用いているが、さらに蛍光偏光解消法を応用した手法も本研究において開発中である。現時点では紐状ミセル内部の界面活性剤分子や添加物分子の回転緩和時間をNMRの緩和時間測定と蛍光プローブを用いた蛍光偏光解消法を用いて検討した結果、数ナノ秒の値が得られ、ミセルを構成する分子の運動はミセル全体の回転緩和時間よりも4〜6桁も速いことが明らかになってきた。
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)