Research Abstract |
近年育成されたラッカセイ亜種間雑種に着目して,施肥窒素およびカルシウムの機能と役割について,莢実形成と物質生産の立場から解析した. 1.結莢圏は無肥料の人工培地,根圏は培養液を用い,生育全期,莢実形成期および莢実肥大期に根圏のCa欠除の影響をみたところ,欠除処理が長い程,また生育後期程乾物生産は抑制されたが,乾物分配は大差なかった.莢実形成期にCaが欠除すると,莢数,粒数ともに減少し,剥皮歩合が低下し,粒重は完全区の1/2であった.その後Caが供給されると,莢数,粒数は完全区と同程度になったが,未莢数,屑粒数が増加し,肥大も抑制され,精粒重は完全区の75%であった.莢実肥大期にCaが欠除すると,莢数,粒数が減少し,精粒重は完全区の84%であったが,生育中期までに形成された莢実への影響は小さく,1粒重は大差なかった.全期Ca欠除ではいずれの形質とも大きく抑えられ,生育中期,収穫期での粒重は完全区の45〜50%にとどまった.以上の結果から,スパニッシュ・バレンシャ・タイプとバ-ジニヤ・タイプの亜種間雑種であるナカテユタカのCaの吸収・利用特性は,後者のタイプに近似し,根圏より結莢圏へのCa施用が重要であることが分かった.また最大必要時期は生育中期,とくに莢実形成期で,このことは従来の結果を裏付けた. 2.施肥窒素の生育時期別影響をみるため,無肥料の人工培地で培養液栽培し,根粒菌が着生しないよう設定したが,無根粒条件にはならなかった.結果は,乾物生産は全期>後期>中期欠除の順に抑制され,莢実重も同様の傾向がみられた.乾物分配は生育前半の窒素欠除で莢実へ,後半の窒素欠除で茎葉への分配を相対的に高めた.しかし,窒素欠除処理の差は小さく,根粒着生条件では従来の結果と同様施肥窒素の影響は小さかった.
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