Project/Area Number |
08660064
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Research Field |
蚕糸・昆虫利用学
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
鳴海 多恵子 東京学芸大学, 教育学部, 助教授 (90014836)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 正彦 東京大学, 農学部, 教授 (60162020)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1996: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Keywords | 野蚕 / ボイド / 液胞 / 液状絹 / 画像処理計測システム / 絹糸腺 / 形態的微細構造 / 熟蚕 |
Research Abstract |
本研究では野蚕体内の液状絹の液胞に着目し、絹糸腺内の液状絹の流動に伴う液胞の形態変化を追究し、繭糸中のボイドの形態との関係からボイドの発生機構およびボイドの形態決定における生理的要因を明らかにすることを目的としたものである。 テンサンおよびサクサンの塾蚕の絹糸腺内の液状絹を試料とし、固定、包埋により薄切片を作成したものを光学顕微鏡および走査型電子顕微鏡で観察し、液状絹の形態的構造変化を観察した。また、走査型顕微鏡写真を資料として、画像処理計測システムにより数量的構造解析を行った。 その結果、後部糸腺から前部糸腺のすべての位置において液胞が存在することが確認された。液胞の形態は絹糸腺の部位および同一部位における横断的位置においても差異が見られた。腺細胞に接する液胞の形状およびそれが存在する部位の検討から、繭糸中に存在するボイドは、後部糸腺の周壁から分泌される液胞に由来するものと考えられた。 液胞の形態は、液状絹の流動により変容することが示されたが、絹糸腺の位置による形態の変化要因として絹糸腺の狭窄と液状絹の粘性が関与していることが考えられた。従って、後部、中部、前部糸腺のそれぞれの境界において、急激な腺腔の太さの変化により液状絹の粘性が低い場合は小径化するが、高い場合は融合し大型化することが示された。また、前部糸腺では吐糸管における繊維化による延伸の影響で、それまで球形であった液胞が柱状化することが確認できた。同一部位における横断的位置による形態の差異については、液状絹が前部方向への流動とともに、絹糸腺の中軸方向へ集中する流動も存在し、それにより、液胞が求心的に集中するものと考えられた。この形態は繭糸の断面にみられたボイドの分布と同様であることが確認できた。
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