Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
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Research Abstract |
東京大学農学部付属愛知演習林(瀬戸市)の落葉広葉樹二次林において,落葉に伴う森林蒸発散量の変化を解析するため,微気象観測と水文観測を行った。微気象は観測鉄塔上および林内において純放射量,日射量,反射量,風速,乾球温度,湿球温度について測定した。林分の代表地点に試験区を設け,樹冠通過雨量と樹冠流量を測定し,樹冠遮断量を求めた。また,東西南北の各斜面において,マイクロライシメータによる地面蒸発量の測定をあわせて実施した。森林からの蒸発散量は,夏季(9月)の晴天日においては純放射量との相関が高く,純放射量の約6割に相当するが,落葉が始まる11月には急減する傾向が見られた。それに対し,林内の地面蒸発量は着葉期には小さく,落葉期に大きい季節変化を示した。これは,落葉により林床面に到達する日射量が多くなること,林床付近の風速が大きくなることに起因すると推察された。そこで,リター層(A0層)を組み込んだ地面蒸発モデルを構築し,マイクロライシメータで測定された地面蒸発量との比較を行うことにより,モデルの有効性を確認した。これにより,リター層が土壌層からの水分の蒸発を抑制することと,地面の日変化の振幅を小さくすることを定量的に評価できる見通しが立った。また,地温蒸発量はリター層の厚さとその含水率に依存することが確認された。地面蒸発に影響を及ぼす林内風速は落葉の進行とともに変化するが,林内の相対照度と高い相関関係を示すので,両因子の回帰直線を求めることにより,林内風速の垂直分布の季節変化を簡便に推定できることがわかった。
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