Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 1996: ¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
|
Research Abstract |
本研究目的は,各種ストレス状態によってひき起こされる,恒常性維持のための生体防御の中枢統御機構を明らかにすることにある.このため,(1)神経活性物質の動態を無麻酔無拘束で解析できる脾臓マイクロダイアリシス法を確立し,(2)これにより環境・情動ストレスおよびストレス関連物質による脾臓交感神経活動抑制機構を脾臓ノルアドレナリン(NA)の動態レベルで解析する. 拘束ストレス開始後,脾臓NAは潜時20分以内に,基礎遊離量の約8倍にまで増大しその後20分間持続した.しかし,その後拘束ストレスの持続にもかかわらず,NAの遊離が減弱していくいわゆる順応反応が観察されたが,拘束解放後も数時間にわたって拘束前置の約2倍と有意に高かった.この拘束ストレスによるNAの遊離は,あらかじめ脾臓交感神経を切除することにより著名に抑制されることから,脾臓交感神経から遊離されたNAを反映していると考えられる.また拘束ストレスにより脾臓ナチュラルキラー細胞の活性が有意に抑制されたが,この抑制も脾臓交感神経の切除により有意に減弱することが判明した. 一方,corticotropin-releasingfctor(CRF)の側脳室内投与(2μg)により,脾臓NA濃度は2峰性に増大し,それぞれ投予後20分および140分で最高値(投与前値の300%)を示した.さらに,IL-1βの腹腔内投与によっても脾臓NAは有意に増大し,投予後40分で最高値(投与前値の200%)となった後緩やかに回復したが,投予後80分においてもその増加は有意であった.このIL-1βの腹腔内投与による脾臓NAの増加は,CRF受容体の拮抗薬であるα-helical CRFを側脳室内に前投与することにより有意に減弱した.以上の結果は,サイトカインによる環境ストレス・脳-免疫系機能連関を示唆する.
|