細胞内カルシウムスパーク現象の分子メカニズムの研究
Project/Area Number |
08670131
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Research Field |
General pharmacology
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Research Institution | 国立衛生試験所 |
Principal Investigator |
川西 徹 国立衛生試験所, 生物薬品部, 室長 (40124383)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
重信 弘毅 東邦大学, 薬学部, 教授 (50012654)
早川 堯夫 国立衛生試験所, 生物薬品部, 部長 (50124392)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Keywords | 共焦点レーザー走査顕微鏡 / カルシウムイオン / カルシウムスパーク / 蛍光プローブ / 心筋細胞 |
Research Abstract |
ラットあるいはモルモットの単離心室筋細胞にカルシウム蛍光プローブfluo-3を取り込ませ、高速走査型共焦点レーザー顕微鏡でビデオレイト(30画像/秒)で細胞内カルシウムイオンを画像化すると、多くの細胞の細胞質領域で、静止状態にもかかわらずノイズ状の小さな上昇が検出された。そこで顕微鏡の走査領域を1/8に絞り、時間分解能を8倍高めて画像取得すると(バンドスキャン)、この小さな上昇はノイズではなくカルシウムイオン濃度上昇であることが明らかとなった。即ち上昇は直径約2μmの領域で生じ、約10msecでピークに達し、30〜40msecで静止レベルまでもどる小さな領域の極めて速い上昇であることが画像化され、いわゆるカルシウムスパークであることが明らかとなった。スパークは細胞質領域全域にわたってランダムに生じ、蛍光強度の上昇の程度は一つ一つのスパークで異なるものの、時間経過はほとんど同じであった。このカルシウムスパークは、細胞をカルシウムアンタゴニストのニカルジピン3.0μM等で処置しても、頻度および時間的空間的パターンとも変化はなかった。一方、ライアノジン1.0μMを処置すると、消失した。さらにイソプロテレノール1.0μM処置では頻度はほとんど変化しなかったが、上昇の幅が大きくなり、同様な効果は10μMのフォルスコリン処置でも観察された。これらの結果から、(1)スパークは細胞内カルシウムイオン貯蔵部位からの一定単位のカルシウムイオン放出現象である、(2)この放出は細胞内サイクリックAMPの上昇によって増強されうる、ということが示唆された。続いて、画像取得にあたって走査をX軸方向のみにして(ラインスキャン)、時間分解能を約70μsecにして画像を得た。ラインスキャンで画像取得すると、約4msecの時間分解能のバンドスキャンによる画像化では困難であった電気刺激によるカルシウムイオン上昇(スパイク)の立ち上がり相の解析が可能となる。画像化されたスパイクをみると、細胞を長軸方向に走査した場合、細胞全体にわたって約2μmの周期的間隔でカルシウムイオン濃度上昇が生じている様子が上昇の立ち上がり相からみてとれ、さらに直前に比較的上昇の大きなカルシウムスパークが生じている部位では、上昇が遅れて生じることが明らかとなった。この結果から、スパーク現象が、生理的な興奮収縮連関におけるカルシウムイオン濃度上昇の一単位をなすことが示唆された。ちなみに、肝細胞、平滑筋細胞、海馬細胞等では、このような速いスパーク状のカルシウムイオンの上昇は観察されなかった。
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Report
(1 results)
Research Products
(5 results)