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¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Research Abstract |
早期の肝細胞癌が線維性隔壁・被膜に浸潤する像(間質浸潤)が,肝細胞癌の病理診断や,癌の進展過程解明に有用であると明らかになっている。われわれは,その間質浸潤のメカニズムを細胞外マトリックス分解酵素matrix matalloproteinase(MMP)の発現の面から明らかにするため,従来より各種MMPの免疫染色を行っている。 肝細胞癌の間質浸潤の形態的評価の確実な切除例と部検例を用いた。この凍結標本やパラフィン包埋標本をMMP-1,-2,-3,-9のモノクローナル抗体各種を用いて免疫染色を行った。 また,各種コラーゲンも染色した。 その結果,MMPはいずれも腫瘍細胞内での陽性は確認できなかった。(陽性に染色されたかのようにみられた所見は非特異的反応と区別が困難であった)。なぜ,腫瘍細胞に陽性所見がなくて,間質浸潤が起こっているのか,その理由を検討中である。またさらに,染色性の感度・特異性向上のため条件設定を工夫している。 今回の結果は,癌の浸潤は単に"腫瘍細胞が組織を分解する"というメカニズムでない可能性を示唆した。 腫瘍細胞の細胞増殖能(MIB-1,AgNOR等)での悪性度評価では,早期の高分化型肝細胞癌と非癌肝組織は明らかなな差を認めないことが多く,高分化型肝細胞癌の病態の解明や確定診断には有用性は低かった。 腫瘍細胞の接着分子(E-カドヘリン,I-CAM-1,V-CAM-1,ELAM-1,CD15,CD44等)の免疫組織学的検討は,現在進行中である。
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