Research Abstract |
1.HTLV-1の高感度Long PCR法の開発:Nested Long distance PCR法によりHTLV-1のU5一gag(0.4kb),gag-pol(2.1kb),pol-px(4.1Kb),gag-px(6.2kb)を増幅のターゲットとしてその感度を検討した.pMT-2では,それぞれの領域で目的のサイズの増幅を認め,感度は10-100コピー/μgDNAであり十分に臨床検体に使用できる系を確立した. 2.キャリア中の欠損型provirusの検出:キャリア20人を対象とした.U5-gag,gag-pol間では,全検体から設計サイズの増幅産物を得た.pol-px間では,2例のキャリアを除き18例で設計サイズの増幅産物を得た.gag-px間では,17/20例でintactの6.2kb bandは観察できず主としていろいろな大きさのdeletion bandが検出された.キャリア体内に高率に欠損型プロウイルスが存在することが証明できた. 3.欠損型プロウイルスのクローニングと塩基配列の決定:gag-px領域に絞り上記PCR産物をクローニングベクターに組み込み塩基配列の決定を行った.11人のキャリアより29クローンの解析の結果,全てのクローンで共通にgag領域の一部,pol全領域,envの一部を欠損していた.また,その結合部位は3-10basesのHomologous sequnceをもって結合しているものが1例を除いて全ての検体で見つかった.加えて1つのクローンたりとも同じ位置での組み換えの例はなくそれぞれユニークなsequenceであった. 4.生物学的意味の考察:欠損型プロウイルスは,ATLのCell lineではその存在が証明されていたが,我々の今回の新たな方法の開発解析によりキャリア中にもその存在が明らかにされた.通常他のretrovirusで証明されているようにHTLV-1のDeleted provirusの成因は,逆転写中に起きていることが推察されるがその生物学的意味は依然として不明である.
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