Project/Area Number |
08670620
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Research Field |
Gastroenterology
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
平石 秀幸 獨協医科大学, 医学部, 助教授 (00199035)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Keywords | 一酸化窒素 / スーパーオキシド / パーオキシナイトライト / 細胞傷害 / 鉄イオン |
Research Abstract |
胃粘膜細胞に対する一酸化窒素(nitric oxide:NO)の傷害性を、ラットの胃粘膜培養細胞を用い検討した。【方法】細胞傷害は、^<51>Cr遊離試験により定量的に判定し、また位相差顕微鏡下に定性的に観察した。傷害因子として、NOとsuperoxide(O_2^-)をほぼ同時に放出するSIN-1(3-morpholinosydnonimine)及びNO単独の供与体であるS-nitroso-N-acetyl DL-penicillamine(SNAP)を使用した。NO消去系としてcarboxy-PTIO(C-PTIO)、O_2^-消去酵素としてsuperoxide dismutase(SOD)/catalase(CAT)を用い、SIN-1の胃粘膜細胞傷害に及ぼす影響を検討した。また、過酸化水素などのオキシダントによる胃粘膜細胞傷害は鉄イオンにより仲介されるが(Gastoroenterology 1993;104:780)、類似の傷害過程が存在するか否かを検討するため、鉄イオンキレート剤(deferoxaminemesylate(DEF),1,10-phenanthroline(PHE))の影響を併せて検討した。【結果】1.SIN-1 100μMは5時間のインキュベートにおいて、3時間以降経時的に、有意な^<51>Cr遊離の増加を惹起した。SIN-1の濃度依存性を検討すると、SIN-1は100μM以上の濃度で、有意な^<51>Cr遊離の増加をきたし、333μMでプラトーに達した。また、位相差顕微鏡下の観察でも、明瞭な細胞の剥離、融解が観察された。2.SIN-1(10-1,000μM)による^<51>Cr遊離の増加は、SOD(100U/ml)/CAT(100U/ml)の添加によりほぼ完全に抑制された。位相差顕微鏡下でも、明らかな細胞傷害の抑制が認められた。3.C-PTIO(1-100μM)の添加は、SIN-1による^<51>Cr遊離を濃度依存性に抑制し、SIN-1の傷害曲線を右方向移動した。しかし、C-PTIOの保護効果は低浸透圧、胆汁酸、過酸化水素などによる傷害に対しては認められなかった。4.一方、SNAPは、同一の実験条件下で、5mMの濃度まで有意な細胞傷害を引き起こさなかった。5.DEF(1-100μM)あるいはPHE(1-10μM)は、濃度依存性にSIN-1の傷害を抑制した。【結論】SIN-1は用量依存性に細胞傷害を惹起し、その傷害がO_2^-あるいはNOのいずれかの消去により特異的に抑制されることが示された。これらの成績より、O_2^-あるいはNO単独の傷害性は軽微であり、SIN-1による胃粘膜細胞傷害は、これらの両者から発生する代謝物(peroxynitriteなど)が傷害の主因子であり、その傷害過程に鉄イオンが関与すると考えられた。
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