Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 1996: ¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
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Research Abstract |
乏突起膠細胞は中枢神経系の神経線維の髄鞘の形成・維持に関与している.多発性硬化症における脱髄形成過程の研究や,多系統萎縮症において疾患特異性の高い細胞内封入体が乏突起膠細胞内にみられることなどが明らかにされ,神経変性疾患における乏突起膠細胞の役割が改めて注目されている.しかしながら乏突起膠細胞を特異的に認識するマーカーがほとんど存在しないことより,剖検例における乏突起膠細胞の病変の評価は容易ではなかった.そこで,我々はヒト脊髄を抗原として種々のモノクロナール抗体を作成中に,「髄鞘は認識しないが乏突起膠細胞の胞体とその突起を特異的に認識するモノクロナール抗体」を見出した.この抗体はヒトおよびラットやウシの中枢神経系のパラフィン包埋切片では免疫組織学的に陰性であったが,4%パラフォルムアルデヒド液で固定した凍結切片では陽性であった.ヒト脊髄とウシ脊髄の白質を用いた免疫電顕的検討では,乏突起膠細胞内とその突起内にび慢性に陽性所見がみられ,いずれかの小器管に限局している所見はみられなかった.2例の乏突起膠細胞腫の生検材料を用いて検討したが,腫瘍細胞に明らかな陽性所見は得られなかった.現在多発性硬化症,多系統萎縮症,筋萎縮性側索硬化症などの種々の剖検例のホルマリン固定凍結切片を用いて免疫組織学的に乏突起膠細胞病変を検討中であり,また,本抗体が認識する蛋白質のアミノ酸配列についても検討中である.
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