Budget Amount *help |
¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
Fiscal Year 1996: ¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
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Research Abstract |
悪性肢帯型筋ジストロフィ症例についてsarcoglycanの遺伝子異常を明らかにするとともに,本症の遺伝子診断法の確立を目的として研究を行った.その結果を要約すると次のごとくである。 1.症例の集積:全国の国立療養所を中心に各種医療機関に本症の診断基準を送付し,症例の収集を行い18家系,25症例の血液試料,あるいは生検筋組織を集めることができた.生検筋が得られた症例については,dystrophin,α,βおよびγ-sarcoglycan,およびdystroglycan(35kDa)の抗体を用いて免疫組織化学的にこれらの膜関連蛋白質の欠損の有無を検索した. 2.上記1.の結果,生検筋がえられた9症例のうち7症例にsarcoglycan(α,β,γ)の欠損が認められた.これらの症例の遺伝子解析では4家系4症例にα-sarcoglycanの遺伝子異常が認められた.白血球のDNAを用いた検索では,6家系9症例にα-sarcoglycanの遺伝子異常を見出した.遺伝子異常としては7例にC229T(Arg 77Cys)のホモ接合型の異常が認められ,3例は同遺伝子異常と未同定のもののcompoundヘテロ接合型であった.その他にC220T(Arg74Try)の変異なども2例認められた.遺伝子異常はC229Tが最も多く,全体の約半数であった. 3.α-Sarcoglycan(adhalin)遺伝子異常の診断法:通常6種類のprimer pairを用いてPCRあるいはRT-PCRを行いSSCPにより異常バンドを検索し,DNAの配列を解析するが,最も簡便に行う方法は頻度の多いエクソン3のC229Tを先に検出することである.すなわち,genomic DNAを用いて上記部位を増幅し,限酵素N1aIVで処理すると健常対照では4つのDNA断片になるが,C229Tがある場合は3つにしか分解できない.この方法を用い,とりあえずα-sarcoglycanの遺伝子異常の約半数を検出することができる.残りの例についてはSSCPで検出した異常バンドのDNA解析を行うとよいことを明らかにした. 以上,本研究では,全国より収集した多数の悪性肢帯型症例の遺伝子解析を行い,その遺伝子異常の特性を明らかにし,遺伝子診断法の基礎を確定した.
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