Research Abstract |
耐糖能障害,高血圧,高脂血症などが,clusterとして存在するインスリン抵抗性症候群の成因にCaveolae機能異常が想定される.インスリン抵抗性症候群の血管内皮細胞におけるCaveolaeを介するインスリンtranscytosisを検索した. 1.血管内皮細胞におけるインスリンTranscytosisの解析:ミニマルモデルでインスリン抵抗性(SI<3.0)が確認された非肥満症例が対象とした.腹腔鏡下胆嚢摘出術時に採取した脂肪組織から血管内皮細胞を調整,2室法で培養した.^<125>I-インスリンの上室から下室へのTranscytosisを定量した.インスリン抵抗性症候群患者の血管内皮細胞でのインスリンTranscytosisは正常者の血管内皮細胞に比べて遅延を認めた.インスリンTranscytosis遅延とSIとは有意の正の相関を示した. 2.血管内皮細胞におけるCaveolae関連蛋白の解析:患者血管内皮細胞におけるCaveolae関連蛋白発現を検索した.血管内皮細胞をインスリン処理後,CaveolaeをTritonX100不活性を利用したAndersonらの方法に準じて単離した.細胞をTritonX114にて可容化した後,Caveolae蛋白を二次元電気泳動法で解析した.インスリン依存性に変動するCaveolae蛋白を4種類ほど同定・精製し,アミノ酸配列を解析中である. 3.Caveolae蛋白遺伝子異常の検索:インスリン抵抗性症候群におけるCaveolae蛋白の遺伝子異常をPCR-SSCP法にて検索した.現在まで,9種類のCaveolae蛋白遺伝子の解析を終えたが,遺伝子変異はまだ同定されていない. インスリン抵抗性症候群の成因に血管内皮細胞Caveolae機能の異常の関与が示唆された.
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