Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
Steel Factor(以下SLF)は造血前駆細胞のapoptosisを抑制するsurvival factorとして構成的造血に重要な役割を担っていることは周知の通りである。SLFはS/geneのexon6のalternative splicingにより分泌型並びに膜結合型SLFの二つのisoformが形成される。筆者は,Thrombopoietin(以下TPO)刺激により誘導される巨核球造血において,膜結合型および分泌型SLFがいかに関与しているかを明らかにするため,S1/S1 homozygoteより樹立したS1/S1^4 fibroblastic cell lineにalternative splicingされた各human SLFcDNAを発現させたtransfectantを作成した。(S14-h220;membrane-boundSLFを産生,S14-h248;solubleSLFを産生)これらSLF各isoformを選択的に産生するstromal cell layerの培養系にリコンビナントヒトTPO(Kirin Brewery Co.より供与)を添加し,巨核球系細胞株MO7e細胞をtarget cellとして共培養を行い以下の結果を得た。 TPOまたはSLF単独刺激では,MO7e細胞の増殖を濃度依存的に刺激した。さらに,TPOと膜結合型あるいは分泌型SLFとの同時刺激では,相乗的に極めて強い細胞増殖刺激効果が誘導されたが,その効果は分泌型が膜結合型SLFより勝っていた。この条件で巨核球系分化抗原であるGPllb/lllaおよびGPlbの発原を検討したところ,TPO単独刺激によりMO7e細胞表面上のGPllb/lla,GPlbの発原が著しく増強するのに対して,分泌型あるいは膜結合型SLFとの同時刺激では,これら分化抗原の発原が有意に抑制され,この抑制効果は膜結合型SLFで顕著に認められた。これより,巨核球系細胞の分化・増殖という観点では分泌型SLFがより強力な生物活性を有し,膜結合型SLFは巨核球系への分化を抑制する作用が強いことが示唆された。また,細胞内情報伝達系では,両SLFisoformともに,Rasへと収攣する経路は活性化され,JAK-STAT pathwayの活性化は認められなかった。 現在,両SLF isoform間でのRasの活性化のkineticsの相違,並びに,ヒト正常造血前駆細胞における再現性についてさらに検討中である。
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