高齢臓器提供者からの肝移植および高齢肝の再若年化の可能性
Project/Area Number |
08671360
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Research Field |
General surgery
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
坂井 義治 京都大学, 医学研究科, 助手 (60273455)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上本 伸二 京都大学, 医学研究科, 助手 (40252449)
尾崎 信弘 京都大学, 医学研究科, 助手 (50211818)
山岡 義生 京都大学, 医学研究科, 教授 (90089102)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1996: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Keywords | 肝移植 / 高齢者 / ドナー肝 |
Research Abstract |
肝移植の普及によるドナー肝不足に伴い、高齢ドナー肝の利用が増加してきた。生体肝移植においても高齢ドナー肝を使用せざるをえない機会に遭遇する。高齢肝を移植するにあたり、これまで危惧されていた点は、1)若年肝に比し高齢肝の保存時間耐性、及び再潅流による障害の程度、2)高齢肝の加齢によるレシビエントへの影響であった。1)については、すでに我々は、高齢肝も若年肝と同様の保存時間耐性があり、再潅流障害も少ないことを明らかにしている。今回は2)の点を明らかにするために、ラット肝移植モデルにて検討した。加齢による動脈血流減少に伴う肝機能変化を考慮し、肝移植モデルは肝動脈再建を伴うものとした。高齢肝(ヒト年齢60〜70歳に相当)は若年肝(ヒト年齢20歳に相当)と比較して、組織学的にはその約20%に加齢変化を認めるものの、ほぼ100%の加齢変化を認める心、腎に比較すると、明らかに加齢変化を受けない臓器と考えられた。高齢肝、若年肝を移植された群ともに長期にわたる生存率、蛋白合成能、レシビエント体重変化には、有意な差は認めなかった。術後早期死亡の原因は両群ともに、胆道再建に用いたチューブによる胆道閉塞や膵炎によるものであった。晩期死亡の原因のほとんどは加齢に伴う心不全であり、高齢肝のさらなる加齢によると考えられる肝不全死は認めていない。長期生存例の組織学的検索により、高齢肝移植群の肝で約50%に、若年肝移植群のそれで約20%に加齢変化を認めたことは、生理学的には機能低下を認めないものの、組織学的加齢変化は進行していることを示唆する。注目すべきは、高齢肝移植群の晩期死因のなかで、腫瘍死(肝外)が若年肝移植群より高率に認められたことである。加齢に伴い肝実質細胞機能より肝間質細胞(網内系細胞)の機能低下が、レシピエントの全身における免疫サーベイランスの低下を惹起している可能性があり、移植後の免疫抑制剤の使用と合わせ、高齢肝移植後の発癌は今後の解決すべき問題と考えられた。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)