Project/Area Number |
08671389
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Research Field |
General surgery
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
寺田 伸一 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (70246586)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 憲 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (90216375)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 1996: ¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
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Keywords | 抗血栓性材料 / 人工血管 / 2-ヒドロキシエチルメタクリレート / スチレン / ブロック共重合体 / アルガトロバン / 下大静脈 / 家兎 |
Research Abstract |
進行性悪性腫瘍に対する放射線療法、化学療法、手術など集学的治療が発展している。これに伴いとくに拡大手術によって広範囲の組織欠損が生じる症例に対する再建外科が求められる機会が増加している。形成外科による再建外科は多くの場合、顕微鏡下血管吻合術を伴う遊離組織移植術でなる。遊離組織は皮膚、皮下脂肪、筋膜、筋肉から構成される微小循環系であり、そこを流れる血流量は極めて微量であり、かつ、血管茎も極めて細い。このような微小循環系に応用可能な小口径人工血管を開発することが本発明の目的である。 本研究で使用した小口径人工血管の材質はポリウレタンであり、これを押し出し成型法で、内径3.0mm、外径4.0mm、長さ25mmに加工し、その内面に抗血栓性高分子材料のポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)-ポリスチレンブロック共重合体(HSと略記)と抗トロンビン剤であるアルガトロバン(Argと略記)でコーティングした。前者は血小板の粘着活性化を抑制し、後者は選択的にトロンビンを阻害する。家兎下大静脈を用いた人工血管移植モデルで比較検討した。第1群:非コーティングチューブ(n=9)、第2群:HSコーティングチューブ(n=9)、第3群:ヘパリンコーティングチューブ(n=9)、第4群:HS/Argコーティングチューブ(n=9)に実験群を分類した。1週間の開存性では第1群が0%、第2群が56%、第3群が67%、第4群が100%であった。HS/Argコーティングチューブが有意に良好な開存成績であった。HSとArgの組み合わせで抗血栓性が実現されることがわかった。しかし、人工血管と下大静脈が接触する吻合部に内膜肥厚が発生し、微小血栓形成の原因となっており、人工血管の断端形状および吻合法の更なる改良が必要と考えられた。 そこで、上記のポリウレタン製人工血管の断端を丸みを帯びるように加工し、内径1.4mm、外径1.9-2.1mm、長さ15mmとさらに小口径のものを作成し、家兎腹壁皮弁移植モデルで遊離皮弁の血管茎である大腿動静脈それぞれに小口径人工血管を挿入し、腹腔内の腎動静脈へ遊離組織移植を行った。17羽の家兎に1週間埋め込んだ結果、動静脈双方の人工血管が開存したものが3例認められた。例数は少ないものの、1-5ml/minの微量血流量で1週間動静脈双方が開存したことは注目に値する。HS/Argが極めて高い抗血栓性を示唆しているものと考えられる。
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