Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 1996: ¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
|
Research Abstract |
LPSによって惹起される歯周組織破壊過程における腫瘍壊死因子(TNF)-αの役割を明らかにする目的で,7週齢ウィスター系雄性ラットの上顎臼歯咬合面上に5mg/ml濃度のLPS (E.Coli由来)溶液を浸した綿棒を1時間にわたって静置することにより,歯肉溝からのLPSの浸透投与を図り,投与開始後7日目までの第1・第2臼歯口蓋側辺縁歯周組織でのTNF-αmRNAの局在をオリゴヌクレオチドによるin situhybridization (ISH)法を用いて検討した。ISH法はPLP固定-EDTA脱灰クリオスタット切片を用い,キャピラリーアクション法を利用したFisher社のマイクロプローブ・システムにて行った.また,未処置材料でも同様に観察した.その結果,正常組織では,歯槽骨外縁の骨芽細胞細胞質に弱い反応がみられた.口腔歯肉上皮(OGE)や口腔歯肉溝上皮(OSE)の有棘層では,一部の細胞に非常に弱い反応が観察される程度で,接合上皮(JE)は陰性であった.投与1時間後,OGEの有棘層全層が弱く染まり始めた.3時間後,基底層を含むOGE・OSE全層が強い陽性反応を示した.JE細胞もTNF-αmRNAを発現するようになり,中にはJE全体が強く染色されるものもあった.歯肉や歯根膜上方部線維芽細胞の細胞質にも弱い陽性反応がみられ.歯槽頂部骨芽細胞の反応性は増強した.1日目,各上皮の反応は減弱する傾向を示したが,歯根膜線維芽細胞や骨芽細胞の反応性は逆に増強していた.また,JE直下結合組織の拡張した毛細血管周囲の浸潤細胞も陽性を呈した.セメント芽細胞,象牙芽細胞や破骨細胞にも陽性反応がみられた.投与2日目には,染色性の減弱が進み,中には正常とほぼ同様の所見を呈するものも観察された.以上,LPS投与後の歯周組織では各上皮細胞,歯肉・歯根膜線維芽細胞,骨芽細胞や浸潤細胞などがTNF-α産生に関わっていた.LPS刺激後,宿主細胞から一過性に産生されるTNF-αがLPSの辺縁歯周組織破壊に重要な役割を担うことをin vivoの実験系において明らかにができた.
|