顎関節の発生過程にみられるアポトーシスの電子顕微鏡的研究
Project/Area Number |
08672106
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Research Field |
Morphological basic dentistry
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Research Institution | Tsurumi University |
Principal Investigator |
田中 秀 鶴見大学, 歯学部, 助教授 (40089389)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Keywords | ヒト胎児 / 顎関節 / 関節腔 / 発生 / アポトーシス |
Research Abstract |
顎関節の発生に関する従来の研究は、主としてH-E染色標本のみの観察による所見であったが、筆者は、パラフィンおよびセロイジン連続切片に、H-E染色、アザン染色、ビルショウスキーの鍍銀染色、ボディアンの銀染色などを施して、顎関節の発生過程の微細構造を観察した。その結果、正常な顎関節の発生過程における、関節円板や関節包に対する神経線維の分布状態やメッケル軟骨と関節円板の線維性結合組織による連絡などを明らかにすることができた。後者の所見は、顎関節が完成した後の耳小骨と関節円板との線維性連絡および顎関節症に際して起こる耳症状を説明するうえで重要な知見であった。また、顎関節の正常発生においては、下関節腔は胎生12週、上関節腔は胎生14週に出現することが確認できた。 顎関節の上・下関節腔は、所定の位置における組織間隙の拡大として出現するが、これがなぜ起こるかは明らかにされていない。関節腔の形成は、顎関節以外の一般の体部の関節においても複雑で、多くの因子が関与する可能性が示唆されている。たとえば、(1)細胞の壊死、(2)細胞間のグリコサミノグリカンの蓄積、(3)毛細血管の発育、(4)関節運動などである。 今回、上記の各因子のうち、とくに(1)細胞の壊死については、壊死(necrosis)ではなくprogrammed cell deathすなわちアポトーシス(apoptosis)であるとの観点から種々の標本を作製して観察を行ったが、残念ながらその証拠を認めることができなかった。しかし、さらに標本を増やして観察することが求められる。一方、その他の因子、たとえば(2)細胞間のグリコサミノグリカンの蓄積や(3)毛細血管の発育については、関節腔の形成に対して大きく関与していることを示唆する所見が多く得られた。
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Report
(1 results)
Research Products
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