唾液腺における新しい細胞内情報伝達系としての血小板活性化因子(PAF)の役割
Project/Area Number |
08672125
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Research Field |
Functional basic dentistry
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
土肥 敏博 広島大学, 歯学部, 教授 (00034182)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今井 康夫 広島大学, 歯学部, 助手 (30271068)
森田 克也 広島大学, 歯学部, 講師 (10116684)
北山 滋雄 広島大学, 歯学部, 助教授 (80177873)
|
Project Period (FY) |
1996
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
|
Budget Amount *help |
¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
Fiscal Year 1996: ¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
|
Keywords | 血小板活性化因子 / PAF / 唾液腺 / 顎下腺 / ムチン分泌 / アセチルコリン / ノルエピネフリン / カルシウム |
Research Abstract |
唾液腺から分泌される糖蛋白である高分子ムチンは,潤滑,緩衝,粘膜保護,微生物凝集作用に等より,非免疫的局所防御に重要な役割を演じている.一方,血小板活性化因子(Platelet-Activating Factor ; PAF)は主に免疫,炎症反応の新しいリン脂質メディエーターとして注目されてきた.しかし近年,申請者らはPAFが唾液腺分泌反応に関与する可能性を示唆した. 本研究は更に1.唾液腺におけるPAFの細胞内動態2.PAF生合成酵素活性の調節機序3.PAFの細胞内活性の諸点について検討し,以下の知見を得た. 1)イヌ耳下腺,顎下腺,舌下腺細胞においてacetylcholine (ACh), norepinephrine (NE), ionomycinはPAF産生を著明に促進した.NEの作用はα受容体遮断薬により拮抗された. 2) AChおよびNEは細胞外液Ca^<2+>濃度に依存してアラキドン酸の遊離とPAF産生を促進した. 3) PAF合成酵素lyso-PAF : acetyl-CoA acetyltransferase活性はACh, NE, isoproterenolおよび8Br-cAMP発票により上昇した. 4)細胞外液Ca^<2+>の除去によりAchによるacetyltransferase活性上昇は減少したがNE, isoproterenolおよび8Br-cAMPによる上昇は影響されなかった. 5) PKC活性化物質であるTPA, mezereinではPAF産生を認めなかった. 6)イヌ顎下腺細胞においてAChにより産生されたPAFは細胞中に高濃度検出されたがmedium中への遊離は認められなかった.一方モルモット顎下腺細胞においてはAChにより産生されたPAFの一部がmedium中へ遊離された. 7) PAFはモルモット顎下腺からのムチン分泌を促進した.この分泌はPAF受容体拮抗薬BN50739および細胞外液Ca^<2+>の除去により減少した. これらの結果より,顎下腺におけるPAF生合成は神経伝達物質AChおよびNEによりCa^<2+>を介するremodelling系を介して調節することが示された.また,顎下腺において産生されたPAFは一部細胞外へ遊離し細胞膜PAF受容体を介してムチン分泌に関与する可能性が示唆された.
|
Report
(1 results)
Research Products
(3 results)