Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 1996: ¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
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Research Abstract |
本研究で明らかになった研究実績の概要は以下の通りである。 ネコ下歯槽神経の電気刺激に対してスパイク応答する頸髄ニューロンは,同側下顎犬歯歯髄へのmustard oil適用による侵害性化学的条件刺激により修飾を受け,化学物質歯髄適用10〜20分後に最大興奮性を示すこと,およびこの一過性興奮が消退した後のnaloxoneの静脈内投与によりこのニューロンは再び興奮性を増大することが確認された。同ニューロンの皮膚受容野については,その応答特性並びに受容野の面積が変化した。この事実は,mustard oilによる歯髄の侵害性化学的条件刺激により,中枢神経系においては神経可塑的変化および内因性opioidを介する下向性抑制が生じていることを示唆している。 週齢を異にするラットの上顎第一臼歯歯髄にmustard oilを適用し,その際に誘発される咀嚼筋筋電図上の筋活動を計測してみると,若い週齢のラット程誘発される筋活動の絶対値が大きいこと,誘発筋活動第2相の発現時刻(潜時)が週齢の増加とともに遅延すること,さらにこれらの筋活動の消退後にnaloxoneを静脈内に投与すると再び増大した筋活動が観察されることが確認された。この事実は,歯髄侵害性化学刺激により誘発される反射性咀嚼筋活動の発現には加齢的要素が関与していること,並びに内因性opioidを介する下向性抑制系が関与していることを示唆している。 ネコ第2前臼歯に対する電気刺激あるいはmustard oilによる化学的刺激は,レーザードップラー血流計による同側同顎犬歯のは歯髄血流量の増大並びに象牙質電極から記録される歯髄内神経の活動性を増大させた。この事実は,複数歯の歯髄に分岐して分布する神経線維の存在と,それらを介した軸索反射が関与する歯髄内神経原性炎症の発症の可能性を示唆している。
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