Research Abstract |
【研究目的】口腔扁平上皮癌の放射線および化学療法前後のアポトーシスとその関連抗原および増殖活性を比較し,治療効果および予後との関係を検討した. 【材料と方法】放射線および化学療法前後の切除標本16例(生検時および手術時)を使用した.アポトーシスはTUNEL法で可視化し,また,アポトーシス関連抗原は抗P53抗体,増殖活性は抗Ki67抗体を用い,免疫組織化学染色を行った.各々腫瘍細胞1000個を数え,陽性細胞数を%で算出した. 【結果】TUNEL陽性率は,放射線および化学療法前で平均1.26%,後で4.48%であり,後者で有意に増加した(P<0.05).他方,P53およびKi67陽性率は有意に減少した(p<0.05).角化度別では,Broders分類grade IおよびIIでは,grade IIIおよびIVより,治療後の腫瘍細胞のTUNEL陽性細胞率が増加した.化学療法別では,代謝拮抗薬と抗癌抗生物質の治療で比較すると,前者において治療後のTUNEL陽性率が有意に増加した.P53陽性腫瘍細胞の比率は,癌死6例(33.8%)の方が予後良好5例(5.0%)より治療前に有意に高値を示した(P<0.05). 【まとめ】放射線および化学療法により誘導される腫瘍細胞の排除は,アポトーシスによるものもあることが示唆された.また,高分化癌は低分化癌に比較して,治療後のアポトーシス細胞がより増加した.尚,P53陽性癌細胞は,口腔癌の生物学的悪性度を反映している可能性がある.
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