Research Abstract |
口腔粘膜疾患の1つである口腔扁平苔癬(以下OLPと略す)は前癌病変として、また難治性疾患として知られている。原因としては金属アレルギー、薬物による副作用、内分泌異常、ストレス、肝機能障害(とくにC型肝炎、インターフェロン療法との関連)さまざまな説があるが、いまだ確定されていない。1997年1月から1997年9月まで当科を受診した口腔扁平苔癬(以下OLPと略す)患者で本人の承諾が得られた20名と、年齢を合わせた健常なボランティア20名において以下の検索を試行した。 HCV抗体、HBs抗原Hbs抗体,HBc抗体,白血球数,血小板数、リンパ球数,リンパ球表面抗原解析としてCD3、CD4、CD8、CD16、CD19、CD45RA,CD45RO,HLADR,CD56,CD4/CD8比をフローサイトメトリーにて測定した。免疫能はIgA.IgE,IgG,IC,C3c,C4,CH50,ILIβ、IL12を測定した。以上の検査結果よりOLP患者の免疫動態を検討した.HCV抗体陽性率はコントロール群0%、OLP群では35%でHCVの関与が疑われた。OLP群でIgG上昇、補体ではC4、IC,CH50で優位に差が認められた.またサイトカインではILlβ,IL12ではt検定ウェルチ法にて両者ともOLP群の優位な上昇がみられた.〔IL1βはP<0.05、IL12も<0.05〕.リンパ球サブセットではメモリーT細胞、B細胞、NK細胞において優位な差がみられた。以上よりOLPの患者ではその免疫能で慢性の炎症に伴う変化が見られ、特にIL12の産性はTh1優位の細胞性免疫への傾向がみられた。以上の結果よりリンパ球サブセットの結果をもあわせ、OLPにおいて免疫動態のバランスの乱れが確認できた.さらに症例数を増やし、C型肝炎そして,肝機能関連を明確にし,その発生のメカニズムと免疫能の動態を探ることはOLPのみならずC型肝炎の解明につながる研究である.
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