Budget Amount *help |
¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 1997: ¥300,000 (Direct Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Research Abstract |
平成8年度の研究成果に基づき,本年度は人工唾液中の酸蝕エナメル質に対する放出フッ素の影響についての検討を行った.つまり,脱イオン中のへのチャージアップ効果については,浸漬したNaF濃度の影響が有意に現われ,その一方で浸漬時間の影響は少なかったことから,今回はチャージアップ条件として,2%NaF,浸漬時間5分間を選択した. 実験期間(各2週間),規模は前回と同様とした.脱イオン水の変わりとして市販の噴射式の人工唾液(サリベート)を採用した.また,最初からGICとともに,1)酸蝕した牛歯エナメル質,2)酸食しない牛歯エナメル質の存在下で,人工唾液中のフッ素とカルシウム濃度をイオン電極にて測定した.牛歯エナメル質は表面を研磨した後,直径5ミリ粘着テープで被覆し,残存部にすべてプロテクトバーニッシュを施した.バーニッシュ硬化後,酸蝕試料はクラレ社製,エッチングジェルで30秒間酸蝕処理を施した. その結果,脱イオン水とは異なる放出パターンが認められ,人工唾液への放出フッ素量は少なかった. 今回の研究の結果, 1.チャージアップ効果は認められたが,最初の2週間で材料間でフッ素の放出量に有意の差が認められた. 2.最初の2週間では,フッ素濃度とカルシウム濃度との間に有意な負の相関が認められた. 3.EPMA分析により,エナメル質へのフッ素の取り込みは放出フッ素量に比例し,酸蝕エナメル質の方が多い傾向が認められた. これらにより,GICから放出されたフッ素イオンは,唾液中のカルシウムイオンとともに歯質表面,もしく溶液中に沈着したことが推察された.しかしながら,EPMAによる観察では,表面へのフッ化カルシウムの沈着を特定するにいたらなかった.脱灰・再石灰化に及ぼすフッ化物に効果は今だ不明の点もあるため,マイクロラジオグラムなどによるさらなる検討が必要と考えられる.
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