Project/Area Number |
08672556
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Research Field |
医薬分子機能学
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大塚 雅巳 京都大学, 化学研究所, 助教授 (40126008)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
Fiscal Year 1996: ¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
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Keywords | NFkB / HIV-EP1 / 細胞内シグナル伝達 |
Research Abstract |
がん遺伝子産物Relや転写因子NFkBはDNAのkB配列に結合し免疫系の遺伝子の発現を制御する。一方HIV-EP1もこれら同様の刺激によって誘導されDNAの同じkB配列に結合する。細胞内シグナル伝達系にはこれら関連タンパク質相互のクロストークが存在すると推定される。本研究ではこれらのタンパク質を認識区別して阻害する人工化合物の設計と合成を行なった。 ピリジンとヒスチジンメチルエステルが対称的に連結した基本骨格をもつ人工化合物HPHをさきに開発した。本研究ではこの基本化合物に種々の亜鉛タンパク質の活性部位の構造にもとづいた分子設計をほどこした。すなわちHPHのイミダゾール残基に立体的にかさ高い置換基を導入し、あるいはメチルエステルをカルボン酸に加水分解するなどの変換をほどこした。さらにイミダゾール部分をメルカプト基やアルキルチオ基のようなイオウ置換基で置き換えた化合物を合成した。 得られた化合物の亜鉛との結合の強さをNMRなど物理化学的手段で評価したところ、ヒスチジン誘導体の場合、金属結合部位にカルボキシル基が含まれると亜鉛結合力が増強されることが明らかになった。さらにこれらの化合物は亜鉛フィンガー転写因子HIV-EP1とDNAとの結合を阻害することが、ゲルシフト実験による検討の結果明らかになった。さらにイミダゾール部分をメルカプト基で置き換えた化合物を合成したところ、HIV-EP1のDNA結合阻害の効果を格段に強めることができた。またシグナルのクロストークの見地から、HIV-EP1と同時に誘導される転写因子NFkBの機能を阻害する物質を類似化合物のなかに検索し、HIV-EP1の経路とNFkBの経路を区別して阻害する物質を見いだすことができた。本研究を発展させ、細胞内シグナルのクロストークの制御という新しい作用機序にもとづく制がん物質をめざしたい。
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