Project/Area Number |
08680215
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Research Field |
Science education
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Research Institution | The Open University of Japan |
Principal Investigator |
永野 重史 放送大学, 教養学部, 教授 (30000045)
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Project Period (FY) |
1996 – 1997
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1997)
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Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 1997: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Keywords | 理科教育 / 科学教育 / 発達段階論 / 状況の中の認識 / 分散された認識 / 低学年理科 / 社会心理学的認識研究 / 理科学力 / 小学生 / 認識発達 / 論理的思考 / 科学観 / 発達段階 |
Research Abstract |
従来のカリキュラム研究においては、児童の認識発達の段階を心理学的に明らかにした上で、それにもとづいて、学校教育における科学教育あるいは理科教育はおよそ何歳から開始することが可能になるかを判断するという方法がとられてきた。ところが、最近の心理学の進歩によって、社会的な交渉の場面から切り離して個々の児童の認識を調べても認識発達の水準を明らかにすることは不可能であることがわかってきた。一般に、(ビアジェが発達研究で用いたような)個人を隔離しておこなうテスト場面では、日常生活の具体的体験の中で示す知的能力や、理科の授業場面のように具体物を前にして社会的な交渉をおこないながら問題解決をおこなう状況で発揮される知的能力よりもはるかに低い知的能力を示すと言える。このような問題に関して調査をおこない、つぎのような知見を得た。 (1)日本の理科授業の特徴に関する比較文化的調査:カリフォルニア大學バークレー校のマ-シャ・リン教授および発達教育研究所(オ-クランド市)のキャサリン・ルイス博士とともに小学校の理科授業の観察と教師インタビューをおこなって、わが国の小学校理科の授業が米国のそれにくらべて社会的交渉を重視しており児童の科学的探求活動に適していること、知的活動の水準も高いことを明らかにした。 (2)小学校低学年の理科授業記録の分析によるわが国の理科授業の特徴と、児童の知的活動水準に関する調査:上の知見にもとづいて、過去の小学校低学年の授業記録を分析し、低学年においても理科授業は児童の知的活動に適した状況を設定しており、そこでは、過去の発達段階説がえがいていたよりはかなり高い水準の認識活動がおこなわれていたことが明らかになった。 (3)最新の文献にもとづく認識心理学説の比較分析とその教育上の意味付けに関する調査:個人心理学的なビアジェの発達理論と最近の社会心理学的な認識研究(状況の中での認識やいわゆる個人の心以外の道具や記号、グラフ表現、言語表現の中に分散された認識に注目する研究)の比較分析、ならびに個人的・社会心理学的双方の認識発達研究の比較分析をおこない、この問題に関する将来の研究の枠組みの整理を試みた。その成果の一部は2冊の啓蒙的な図書として発表した。詳細は後日論文として発表する予定である。
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