Research Abstract |
本研究の実施は2つの柱によって構成されている。 第1は,北海道内の主要8都市において理科教育で活用できる,地震防災ハザードマップの作成すること。第2は,昨年度の科学研究費補助金で取り組んで作成した,北海道桧山管内江差町の震防災ハザードマップをもとに,地元の中学校現場で授業実践を行ないその成果や問題点を明らかにし,第1の柱に実践的な視点から寄与することである。 第1の点については,函館,室蘭,苫小牧,釧路,札幌,旭川,帯広,北見の海岸部,内陸部の各4つの都市を選び,その地域の4km四方内を1辺100m,計1600のセクションに区切り,各マス内における地震防災危険度評価を行った。 危険度評価は,昨年度の科研費研究の成果に若干の修正を加え,さらに現地での観察評価を含めて,斜面崩壊,活断層・地すべり,液状化それに海岸部では津波の4つの観点と各地域ごとに危険度を総合化したハザードマップを作成した。ハザードマップは,海岸部の都市では各5枚,内陸部では各4枚,道内全体では計36枚のカラーによる危険度の段階を示した地震防災ハザードマップである。 第2の点については,96年12月6日,江差町立江差中学校の3年生を対象に,昨年度に作成した江差地域の地震防災ハザードマップを教材として,授業実践を行った。 とくに本教材は,地域内における地震災害の危険度が地域の地質学的形成史と地質に関連が深いことを積極的位置づけ,「大地の生い立ち」の単元の中で取り組むプランを作成し授業実践を行なった。その結果,地域の自然史環境を生かした地震防災ハザードマップが教材として,一定の効果があることが明らかになった。
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