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¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
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Research Abstract |
本研究では,ソフトウェアのテスト工程および運用段階でのフォールト発見・修正プロセスに対するコスト要因を考慮してソフトウェア保守コストモデルを構築し,ユーザに出荷するのに最適な時期を決定する問題いわゆるソフトウェアの最適リリース問題について議論した.コストモデルの構築においては,コストパラメータとして,最小限必要なテストコスト,単位時間当りのテストコスト,運用段階で発見されるフォールト1個当りの保守コストの3つを導入した上で, (i)コストの現在価値 (ii)製品としての保証期間 (iii)ソフトウェアのライフサイクル長の時間分布 という現実的な問題の特性要因を組み込んだ.ここで,ソフトウェアの開発工程において最適リリース時刻を見積もるときには,上記(iii)を無視して(ii)の保証期間の長さを重視するほうが実際的であるとして,その確率分布を仮定した.さらに,コスト要因のみでなくテスト工程において実現されるソフトウェア信頼度の要求値も考慮した最適リリース間題も考察した.以上の特徴をもつコストモデルにおいて,フォールトの発見・修正プロセスを非同次ポアソン過程に基づく指数形ソフトウェア信頼度成長モデルにより記述した.このコストモデルから導出される総期待ソフトウェアコストを最小化する最適化問題を解くことにより,初期フォールト発見率が所定の条件の下で最適方策が存在することを示し,運用・保守段階におけるソフトウェアの信頼度成長の有無と,保証期間が一定か確率分布に従うかどうかという各ケースに対応して,最適リリース時刻を導出した.これにより,ソフトウェアの開発管理者が,従来のようにKKD(経験・勘・度胸)で出荷時期を見積るのではなく,合理的にかつ定量的に出荷時期を見積る一助となることが期待される.なお,本研究に関連するソフトウェアや可用性評価,テスト資源の最適な投入方法,テスト進捗度評価についても議論した.
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