Project/Area Number |
08680807
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Research Field |
Nerve anatomy/Neuropathology
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
河野 邦雄 筑波大学, 基礎医学系, 教授 (60013942)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Keywords | 中枢神経系 / プルキンエ細胞 / 酸素欠乏 / 滑面小胞体 / グルタメイト / グルタメイト受容体 / IP-3 / 電子顕微鏡 |
Research Abstract |
中枢神経系は酸素欠乏に弱い組織である。しかし、数分間の呼吸停止は日常生活でも経験するところであり、機能的にも構造的にもニューロンになんらの変化も引き起こすものではない、と一般に信じられてきた。それが呼吸停止と同時に、ラット小脳のプルキンエ細胞では、樹状突起内に管状をなし全体に網目状に広がる滑面小胞体の網目が崩れ、扁平な有窓小胞体を経て、層板が重なったあった層板小体へと構造を変えていく。その変化は呼吸停止直後から始まり、3分後では層板小体が全体を占め、5分後にはさらに層板の数が増える。これらの変化を経時的に電顕連続切片で明らかにし報告した(Bannno & Kohno,J.C.N.'96)。これらの虚血変化は人工呼吸開始とともに消失する。同様の層板形成はグルタメイトの脳室内投与によっても起こることを明らかにし、更に4種類あるグルタメイト受容体の中で層板形成に直接関与するのはどれか、それぞれのアゴニストを投与して検討した。イオントロピック型受容体の、NMDAは特に変化なく、AMPAとkainateは強い細胞質の萎縮とグリア細胞の細胞質の膨化を引き起こした。代謝型の受容体のアゴニストt-ACPDは強い層板形成能を示し濃度依存性に層板の数は増加した。この層板形成能はアゴニストであるL-AP3により濃度依存性に抑制された。t-ACPDにより形成される層板小体は大型で層板同士の配列は整然としておりその間をつなぐ顆粒も25nmの間隔で規則正しく並ぶ。強拡大で見ると、この顆粒は層板間を結ぶ長さ15nmの短い管で、傾斜装置で90°回転させると中空の内腔が見えた。これは4量体のIP-3受容体そのもので、小胞体に蓄えたCa^<2+>が小胞体外に大量に放出されて異常興奮が起こらないように、互いの内腔を繋ぎ生体防御反応をなす。現在J.C.N.に投稿すべく準備中である。今後はこの仮説を培養系で検証してみたく準備を進めている。
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