Budget Amount *help |
¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Research Abstract |
主としてブラジルからやってきた日系人のエスニックアイデンティティを言語との関係性において読み解いてゆくことを目的として調査研究を行った。 ブラジルからの出稼ぎ労働者の集住地域として先行研究のない豊橋市を選定し,先ず調査紙を用いてのアンケートを行い,「出稼ぎ」の3種類(I.ブラジル志向型,II.日伯往復型,III.日本志向型)の仮説検証を試みた。その際,特に留意したことは「文化資本」としての「日本語」習得の形式であった。多くの出稼ぎ労働者は製造業に携わっているため日本語の使用が必須の要件ではないが,日系人以外の労働者のと交流や休日に出掛ける市街地においては必要となってくることはいうまでもない。日本にやってくる前に「家庭」や「地域社会」あるいは「教育」によってどの程度の言語能力を有していたのかを縦軸に,ブラジル(本国)と日本の間で揺れ動くかれらのエスニック・アイデンティティの分析に努めた。 仮説の段階ではあるが,コレージュ・ド・フランスのピエール・ブルデュー(Bourdieu,P.)氏を訪ね,参考文献の案内や今後の展開可能性についての指示を受けた。 一般的には不景気といわれるなか経済発展の豊かな可能性を秘めている豊橋市の製造業は現在も慢性的な「人不足」でブラジルからの出稼ぎ労働者は貴重な労働力である。今後ともこの地域における出稼ぎ労働者の「日本語」以外の「文化資本」に着目しつつ,今回の調査結果をより充実したものにまとめあげる努力を重ねてゆきたいと考える。なお,今回の調査研究によって得られた知見の詳細は,9年度日本社会学会大会での口頭発表の後,学術雑誌に公表し,関連分野を研究しているより多くの学兄諸氏の批判検討を仰ぎつつ精緻化を図ってゆきたい。
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