Project/Area Number |
08710172
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Educaion
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
加藤 毅 東京工業大学, 大学院・社会工学研究科, 助手 (10233800)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1996: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 大学入試 / 社会的マッチング理論 |
Research Abstract |
本研究では、多様化の進む大学入試システムの現状把握を試みると共に、入試制度(受験科目)の軽量化・簡素化について社会的マッチング理論を用いた検討を行った。 まず、受験生の選好が完全に一様であるようなケースについて分析を行った。これは、現実には偏差値というシグナルによる影響を強く受け受験生の選好順位に大差はないと考えられることによる。また各大学が個別に入学試験を実施している現状を踏まえ、受験生の成績(大学から見た学生の望ましさ)は一定ではないとした。このような条件の下で単純化したモデルでは、受験生の選好が多様である場合とは異なり、マッチングによって得られる安定結果は唯一定まることになる。 この結果に即して、入試科目数の減少の持つ意味について考察を行った。入試科目数の減少により苦手科目の受験を嫌う学生による大学の選好が変化すれば、受験生の選好順位は多様化する。その結果、マッチングによって得られる安定結果は複数生じる。つまり、受験科目数の減少は、従来の偏差値ピラミッドを崩す可能性を持つといえよう。 入試科目数の減少は受験生の選考順序に影響を及ぼし、以前よりも選考順位は高くなる。しかしながら、他大学による追随がおこなわれるならば、その比較優位は失われる。実際に、18才人口の減少期を迎え激化する受験生獲得競争のもとで、受験生による高い選好順位をもたらす受験科目の軽量化は急速に普及している。その結果、入学後大学の授業についていけない学生が増加し、基礎学力の不足した学生を受け入れた大学はリメディアル教育を行わざるを得ないという新たな問題状況が産み出されることになる。これらの問題状況を取り込むためにも、大学の質を捨象するのではなく、たとえば大卒就職市場を媒介とする大学-社会間のマッチングを組み込んだ新しいモデルを構築することなどが今度の課題である。
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